非小細胞肺がん(NSCLC)に対する周術期治療に、抗PD-1抗体toripalimabを追加投与することで、無イベント生存期間(EFS)が延長することが、無作為化二重盲検プラセボ対照第III相Neotorch試験の中間解析から示された。中国・上海市胸科医院のShun Lu氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表した。
・対象:切除可能なStageII/IIIのNSCLC患者404例
・試験群:toripalimab+プラチナベース化学療法3週ごと3サイクル→手術→toripalimab+プラチナベース化学療法3週ごと1サイクル→toripalimab 3週ごと最大13サイクル(toripalimab群)202例
・対照群:プラセボ+プラチナベース化学療法3週ごと3サイクル→手術→プラセボ+プラチナベース化学療法3週ごと1サイクル→プラセボ3週ごと最大13サイクル(プラセボ群)202例
・評価項目:
[主要評価項目]治験担当医評価によるStageIII、II/IIIのEFS、盲検下独立病理学審査(BIPR)評価によるStageIII、II/IIIの病理学的奏効(MPR)率
[副次評価項目]全生存期間(OS)、BIPR/施設病理医の評価によるStageIII、II/IIIの病理学的完全奏効(pCR)率、独立評価委員会(IRC)評価によるStageIII、II/IIのEFS、無病生存期間(DFS)、安全性と手術の実行性
EFS(StageIII)→EFS(StageII/III)→MPR(StageIII)→MPR(StageII/III)→OS(StageIII)→OS(StageII/III)の順番で階層的に検定
主な結果は以下のとおり。
・追跡期間中央値18.3ヵ月における、治験担当医によるStageIIIのEFS中央値は、toripalimab群が未到達、プラセボ群が15.1ヵ月で、toripalimab群の有意なEFS改善が示された(両側p<0.0001)。
・EFSのHRをPD-L1発現別にみると、PD-L1<1%では0.59(95%信頼区間[CI]:0.327〜1.034)、1~49%では0.31(同:0.176〜0.554)、50%≦では0.31(同:0.152〜0.618)と、toripalimab群で良好な傾向であった。
・EFSのHRを組織型別にみると、非扁平上皮がんでは0.54(95%CI:0.265〜1.096、p=0.0827)、扁平上皮がんでは0.35(同:0.236〜0.528、p<0.0001)と、toripalimab群で良好な傾向であった。
・MPR率はtoripalimab群48.5%、プラセボ群8.4%(p<0.0001)、pCR率はtoripalimab群24.8%、プラセボ群1.0%(p<0.0001)と、いずれもプラセボ群に比べ改善していた。
・Grade3以上の治療下発現有害事象(TEAE)は、toripalimab群の63.4%で、プラセボ群の54.0%で発現した。Grade3以上の免疫関連有害事象は、toripalimab群の11.9%で、プラセボ群の3.0%で発現した。
発表者のLu氏は、「従来の研究と合わせ、Neotorch試験の結果は、周術期の抗PD-1抗体と化学療法との併用が、切除可能NSCLCの標準治療となるべきであることを示した」と述べている。
(ケアネット)