レビー小体型認知症(DLB)の国際診断基準に取り入れられているcingulate island sign(CIS)は、アルツハイマー型認知症(AD)との鑑別診断に用いられる。最近の研究では、DLBにおけるCIS比は、ミニメンタルステート検査(MMSE)スコアに応じて変化することが示唆されている。東京慈恵会医科大学の浅原 有揮氏らは、DLBとADを鑑別において、CIS比の診断精度(感度および特異度)がMMSEスコアに応じてどのように変化するかを評価するため、本研究を実施した。Journal of the Neurological Sciences誌2023年12月15日号の報告。
対象は、18F-FDG PETを実施しMMSEを完了したDLB患者22例、アミロイド陽性AD患者26例。MMSEスコアに応じて、3群に分類した(A群:MMSE24超、B群:MMSEスコア20以上24以下、C群:MMSEスコア20未満)。各群において、DLB患者とAD患者のCIS比を比較し、ROC曲線分析を実施して感度および特異度を算出した。
主な結果は以下のとおり。
・B群では、DLB患者のCIS比はAD患者よりも有意に高かったが(p=0.0005)、A群(p=0.5117)およびC群(p=0.8671)では、この関係は認められなかった。
・ROC曲線分析では、DLBとADを鑑別するためのCIS比の感度および特異度は、各群において以下のとおりであった。
【A群】感度:66.7%、特異度:77.8%
【B群】感度:91.7%、特異度:100.0%
【C群】感度:75.0%、特異度:66.7%
著者らは「DLBとADの鑑別におけるCIS比の診断精度は、MMSEスコアに応じて変化が認められ、MMSEスコアが20以上24以下の場合で、感度および特異度が高くなることが示唆された」ことを報告した。
(鷹野 敦夫)