双極性障害は、重篤な精神疾患であり、その負担の一部は生涯にわたる精神疾患の併存と関連しており、診断、治療、予後にも影響を及ぼす。ブラジル・Universidade Federal da BahiaのGabriela Leda-Rego氏らは、双極性障害患者の精神疾患生涯有病率を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Psychiatry Research誌2024年7月号の報告。
1993〜2022年に公表された関連論文をMedline/PubMed、Embase、Cochrane Library(Central)、PsycINFO、Scopus、Web of Science、および言語制限なしの手動で検索し、メタ解析を実施した。最初に特定された1万2,698件のうち、最終的に適格基準を満たした114件を選択した。双極性障害患者における精神疾患に関する2つのメタ解析(有病率、リスク比)を実施し、その後、単変量分析で有意であると特定されたモデレーターについて多変量メタ回帰モデルを用いて、モデレーター効果の包括的な調査を行った。
主な結果は以下のとおり。
・1つ以上の精神疾患の併存率は、全体で38.91%(95%信頼区間:35.24〜42.70)であり、主な精神疾患は、不安(40.4%[34.97〜46.06])、物質使用障害(30.7%[23.73〜38.73])、ADHD(18.6%[10.66〜30.33])、破壊的衝動制御および行動障害(15.0%[6.21〜31.84])であった。
・個々の患者の有病率と関連性の高い因子は、国連人間開発の人間開発指数(HDI)、女性、年齢、自殺企図、発症年齢であった。
著者らは、「双極性障害患者における精神疾患併発率は、研究間で大きな異質性が認められるものの、一般集団と比較し著しく高いことが明らかになったことから、包括的なメンタルヘルスの評価や個別化された定期的なスクリーニングの重要性が示唆された。さらに、双極性障害患者を支援する環境を作り、より良い治療条件や持続的な支援を確保するために公共政策の強化も急務である」としている。
(鷹野 敦夫)