片頭痛予防の再定義、抗CGRPモノクローナル抗体による早期治療が治療反応を強化

提供元:ケアネット

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公開日:2024/06/21

 

 片頭痛予防に承認されている抗CGRPモノクローナル抗体による治療は、患者によって治療反応が異なり、多くの国では費用償還(reimbursement)ポリシーがあるため、治療が妨げられることもある。スペイン・Vall d'Hebron HospitalのEdoardo Caronna氏らEUREkA study groupは、6ヵ月間の抗CGRP抗体に対する良好/優良な治療反応およびそれに関連する臨床的因子を調査するため、本研究を実施した。Journal of Neurology, Neurosurgery, and Psychiatry誌オンライン版2024年5月22日号の報告。

 本研究は、2018年3月以降に抗CGRP抗体による治療を行った高頻度の反復性片頭痛または慢性片頭痛患者を対象とした欧州の多施設共同プロスペクティブリアルワールド研究である。良好/優良な治療反応の定義は、6ヵ月後の1ヵ月あたりの頭痛日数(MHD)の減少がそれぞれ50%以上、75%以上とした。治療反応と独立して関連する変数を特定するため、一般化混合効果回帰モデルを用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・対象患者は、5,818例(女性の割合:82.3%、年齢中央値:48.0歳[40.0〜55.0])であった。
・ベースライン時のMHD中央値は20.0日/月(14.0〜28.0)、慢性片頭痛と診断された患者は72.2%であった。
・6ヵ月後、良好な治療反応が認められた患者は56.5%(4,963例中2,804例)、優良な治療反応が認められた患者は26.7%(4,963例中1,324例)であった。
・一般化混合効果回帰モデルでは、良好な治療反応を予測する因子として次の因子が検出された(AUC:0.648、95%信頼区間[CI]:0.616〜0.680)。
●高齢(1.08、95%CI:1.02〜1.15、p=0.016)
●片側痛(1.39、95%CI:1.21〜1.60、p<0.001)
●うつ病あり(0.840、95%CI:0.731〜0.966、p=0.014)
●1ヵ月あたりの片頭痛日数の減少(0.923、95%CI:0.862〜0.989、p=0.023)
●ベースライン時のMigraine Disability Assessmentの低さ(0. 874 、95%CI:0.819 〜0.932、p<0.001)
・上記の因子は、良好な治療反応の予測因子でもあった(AUC:0.691、95%CI:0.651〜0.731)。
・一般化混合効果回帰モデルでは、性別は重要な因子ではなかった。

 著者らは、「片頭痛の頻度が高く、ベースライン時の障害が大きい場合、抗CGRP抗体に対する治療反応が低下する可能性が、大規模リアルワールド研究において明らかとなった。治療を成功させる可能性を最大限にするためには、早期治療が必要であることが示唆された」としている。

(鷹野 敦夫)