コロナ罹患後症状、中年層や女性に高頻度/NCGM

提供元:ケアネット

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公開日:2024/07/04

 

 国立国際医療研究センターは7月1日付のプレスリリースにて、オミクロン株BA.5流行期の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患後症状(Long COVID)の頻度や関連要因について、同センターの射場 在紗氏らの研究グループが、東京都品川区、筑波大学、大阪大学と共同で行った調査の結果を発表した。本結果によると、40~49歳の中年層、女性、基礎疾患のある人、COVID-19の重症度が高かった人で罹患後症状の頻度が高かったが、感染前にワクチンを接種していた人では罹患後症状の頻度が低かったことなどが明らかとなった。罹患後症状がある人において、感染から約半年経過後も8.5%が日常生活に深刻な支障があるという。本結果は、Emerging Infectious Diseases誌2024年7月号に掲載された。

 本研究では、2023年1〜2月に、東京都品川区在住の2022年7〜8月(いわゆる第7波、オミクロン株BA.5流行期)にCOVID-19に罹患しHER-SYSに登録された20〜69歳の感染者2万5,911例と、性別・年齢をマッチさせた非感染者2万5,911例を対象にwebアンケート方式で調査が行われた。有効回答が得られた感染者8,392例と非感染者6,318例が比較された。主要評価項目はCOVID-19の罹患後症状、副次評価項目は心身の健康状態、社会経済状況など。症例におけるコロナ罹患後症状に関連する因子を調査するため、多変量ロジスティック回帰分析を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・感染者8,392例の平均年齢は42.3歳、非感染者6,318例の平均年齢は42.4歳だった。
・感染者は、初回感染から平均168日経過し、COVID-19の重症度は8,326人(99.2%)において軽症または無症状だった。
・感染者の91.9%はCOVID-19罹患前にワクチンを1回以上接種していた。
・感染者における罹患後症状の頻度は11.8%と、非感染者における2ヵ月以上続く症状の頻度5.5%よりも約2倍高い結果となった(性別・年齢調整オッズ比(OR):2.33、95%信頼区間[CI]:2.05〜2.64)。
・感染者で非感染者よりも顕著に見られた症状は、味覚障害(OR:27.4、95%CI:6.7~111.8)、筋力低下(OR:11.8、95%CI:5.5~25.5)、嗅覚障害(OR:11.6、95%CI:4.7~28.6)、脱毛(OR:6.5、95%CI:4.4~9.6)、ブレインフォグ(OR:5.9、95%CI:3.8~9.0)だった。
・女性は男性よりも罹患後症状の頻度が高かった(OR:2.00、95%CI:1.71~2.34)。
・40~49歳は、20~29歳よりも罹患後症状の頻度が高かった(OR:1.26、95%CI:1.01~1.57)。
・基礎疾患のある人は、ない人よりも罹患後症状の頻度が高かった(OR:1.36、95%CI:1.16〜1.59)。
・COVID-19の重症度が高かった人では罹患後症状の頻度が高かった(無症状/軽症と比較したOR:2.07、95%CI:1.18〜3.66、中等症と比較したOR:4.49、95%CI:1.97〜10.23)。
・感染前にワクチンを接種した人では、ワクチン未接種者よりも罹患後症状の頻度が低かった(OR:0.75、95%CI:0.60〜0.95)。
・罹患後症状がある992人において、感染から約半年経過後も59.5%が日常生活へ何らかの支障があり、8.5%が深刻な支障があると回答した。

 著者らは本結果について、ワクチン接種によって罹患後症状の発症リスクが低減するかどうかについては、より詳細な研究が必要だとしている。オミクロン株流行期のCOVID-19感染者における罹患後症状の頻度は、中年層でより一般的であることが示され、生産年齢人口のかなりの割合が影響を受けた可能性があり、今後さらに社会経済的な影響についても分析を進める予定だという。

(ケアネット 古賀 公子)