口臭と認知症との関連〜11年間の国内フォローアップ調査

提供元:ケアネット

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公開日:2024/07/22

 

 社会的交流の頻度が低いと潜在的な認知症リスクが増加する。口臭はアルツハイマー病を含む認知症リスクを増加させる可能性がある。東京医科歯科大学のDuc Sy Minh Ho氏らは、口臭と認知症との関連を調査した。Journal of Alzheimer's Disease Reports誌2024年5月17日号の報告。

 秋田県・横手市のJPHCプロスペクティブ研究(Japan Public Health Center-based Prospective Study)を用いて、検討を行った。対象は、2005年5月〜2006年1月に歯科検診および自己申告調査を行った56〜75歳の1,493人。認知症発症のフォローアップ調査は、2006〜16年の介護保険データを用いて行った。口臭のレベルに応じて、口臭なし群、軽度の口臭群、重度の口臭群に分類した。口臭が認知症に及ぼすハザード比を推定するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。感度分析には、逆確率重み付けCoxモデルを用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・参加者の平均年齢は65.6±5.8歳、女性の割合は53.6%であった。
・フォローアップ調査終了時の認知症発症率は全体で6.4%(96例)、重度の口臭群で20.7%であった。
・フォローアップ調査(1万5,274.133人年)を通じて、1,000人年当たりの認知症の平均発症率は6.29であった。
・最も発症率が高かった群は、重度の口臭群であった(1,000人年当たり22.4)。
・交絡因子で調整したのち、重度の口臭群は、口臭なし群と比較し、認知症発症の危険性が3.8倍(95%信頼区間[CI]:1.5〜9.4)増加した。
・逆確率重み付けCoxモデルでは、調整済み限界ハザード比が4.4(95%CI:1.2〜16.4)であり、同様の傾向が確認された。

 著者らは「より大規模なサンプルサイズによる検討が必要とされるものの、本研究において、口臭と認知症発症との有意な関連性が認められた」としている。

(鷹野 敦夫)