尿アルブミン/クレアチニン比の基準値、30mg/gCr未満は適切?

提供元:ケアネット

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公開日:2024/07/25

 

 尿アルブミン/クレアチニン比(UACR、単位:mg/gCr)の基準値は30未満とされているが、基準値範囲内であっても、全死亡および心血管疾患リスクに影響を及ぼすことが示唆された。イスラエル・ヘブライ大学のDvora R. Sehtman-Shachar氏らの研究グループは、UACR 30未満の範囲で、全死亡および心血管疾患との関連を調査した研究を対象として、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、UACRが基準値範囲内であっても正常高値では、心血管疾患および全死亡のリスクが上昇した。本研究結果は、Diabetes, Obesity and Metabolism誌オンライン版2024年7月17日号に掲載された。

 PubMedおよびEmbaseを用いて、2024年4月12日までに登録された研究のうち、UACR 30未満の範囲でUACRと全死亡、心血管疾患との関連を調査した研究を検索した。その結果、22件の文献が抽出され、15件についてメタ解析を実施した。UACRを2つのカテゴリー(10未満vs.10以上30未満)または3つのカテゴリー(5未満vs.5以上10未満vs.10以上30未満)に分けて解析した。

 主な結果は以下のとおり。

・UACR 10未満と比較して、10以上30未満では全死亡(ハザード比[HR]:1.41、95%信頼区間[CI]:1.15~1.74)および冠動脈疾患発症(同:1.56、1.23~1.98)のリスクが上昇した。
・UACR 5未満と比較して、5以上10未満でも全死亡(HR:1.14、95%CI:1.05~1.24)および心血管死(同:1.50、1.14~1.99)のリスクが上昇した。10以上30未満では、心血管死のリスクが2倍以上に上昇した(同:2.12、1.61~2.80)。

 本研究結果について、著者らは「UACR正常高値(10以上30未満)を心血管疾患リスクの高い集団として定義することを提案する。この集団に対する腎保護薬の効果を検証する研究が必要である」とまとめた。

(ケアネット 佐藤 亮)