カナダ・トロント大学のAaron M. Drucker氏らは、アトピー性皮膚炎を効能・効果として新たに承認されたレブリキズマブについて、リビングシステマティックレビューおよびメタ解析により、その他の免疫療法と有効性・安全性を比較した。その結果、成人のアトピー性皮膚炎の短期治療の有効性は、デュピルマブと同等であった。レブリキズマブは臨床試験でプラセボと比較されていたが、実薬対照比較はされていなかった。JAMA Dermatology誌オンライン版2024年7月17日号掲載の報告。
研究グループは、Cochrane Central Register of Controlled Trials、MEDLINE、Embase、Latin American and Caribbean Health Science Informationデータベース、Global Resource of Eczema Trialsデータベースおよび試験レジストリを用いて、2023年11月3日までに登録された情報を検索した。中等症~重症のアトピー性皮膚炎に対する全身免疫療法を8週間以上評価した無作為化比較試験を適格とし、タイトル、アブストラクト、全文をスクリーニングした。データを抽出し、ランダム効果モデルを用いたベイジアンネットワークメタ解析を実施。薬剤間の差は、臨床的意義のある最小変化量を用いて評価した。エビデンスの確実性は、GRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation)システムを用いて評価した。最新の解析は2023年12月13日~2024年2月20日に実施した。
有効性アウトカムは、Eczema Area and Severity Index(EASI)、Patient Oriented Eczema Measure(POEM)、Dermatology Life Quality Index(DLQI)、Peak Pruritus Numeric Rating Scales(PP-NRS)とし、平均群間差(MD)と95%信用区間(CrI)を求めて比較した。安全性アウトカムは、重篤な有害事象、有害事象による試験薬の中止とした。その他のアウトカムは、EASI-50、EASI-75、EASI-90達成率、Investigator Global Assessment(IGA)スコアに基づく奏効率(IGAスコアが2点以上低下し、1点以下を達成)などとし、これらの二値変数のアウトカムはオッズ比と95%CrIを求めて比較した。
主な結果は以下のとおり。
・解析には、98の適格試験の対象患者2万4,707例が組み込まれた。
・最長16週間の治療を受けた成人アトピー性皮膚炎患者において、レブリキズマブはデュピルマブと比較して、EASI(MD:-2.0、95%CrI:-4.5~0.3、エビデンスの確実性:中)、POEM(-1.1、-2.5~0.2、中)、DLQI(-0.2、-2.1~1.6、中)、PP-NRS(0.1、-0.4~0.6、高)のいずれも臨床的に意義のある差はみられなかった。
・有効性に関する二値変数のアウトカムのオッズは、デュピルマブがレブリキズマブと比較して高い傾向にあった。
・その他の承認済みの全身療法の相対的有効性は、今回のリビングシステマティックレビュー以前のアップデートで示されたものと同様であり、高用量ウパダシチニブおよびアブロシチニブが、数値的に最も高い相対的有効性を示した。
・安全性アウトカムは、イベント発現率が低く、有用な比較が制限された。
(ケアネット)