米国・ブリガム&ウィメンズ病院のMuthiah Vaduganathan氏らの研究グループは、左室駆出率(LVEF)40%以上の心不全(HFpEF/HFmrEF)患者を対象としてフィネレノンの有用性を検討した1試験、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(CKD)患者を対象としてフィネレノンの有用性を検討した2試験の計3試験のメタ解析を実施した。その結果、フィネレノンは全死亡、心不全による入院、複合腎イベントのリスクを低下させ、心・腎・代謝(CKM)症候群へのフィネレノンの有用性が示唆された。本研究結果は、8月30日~9月2日に英国・ロンドンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2024(ESC2024、欧州心臓病学会)で発表され、Nature Medicine誌オンライン版2024年9月1日号に同時掲載された。
本研究は、フィネレノンに関するHFpEF/HFmrEF患者を対象とした1試験(FINEARTS-HF)、2型糖尿病を合併するCKD患者を対象とした2試験(FIDELIO-DKD、FIGARO-DKD)の参加者1万8,991例を対象とした。主要評価項目は心血管死、副次評価項目は全死亡、心不全による入院、複合腎イベント(eGFR 50%以上低下、腎不全、腎死)などとした。
主な結果は以下のとおり。
・HFpEF/HFmrEF、2型糖尿病、CKDのうち1つのみ(すなわちHFpEF/HFmrEFのみ)を有する割合は10.4%(1,974例)、2つを有する割合は77.5%(1万4,710例)、3つを有する割合は12.1%(2,307例)であった。
・主要評価項目の心血管死はプラセボ群5.0%(471例)、フィネレノン群4.4%(421例)に認められ、両群間に有意差はみられなかった(ハザード比[HR]:0.89、95%信頼区間[CI]:0.78~1.01、p=0.076)。しかし、事前に規定された感度分析として、原因不明の死亡も含めて解析すると、フィネレノン群で有意なリスク低下がみられた(同:0.88、0.79~0.98、p=0.025)。
・全死亡はプラセボ群12.0%(1,136例)、フィネレノン群11.0%(1,042例)に認められ、フィネレノン群で有意なリスク低下がみられた(HR:0.91、95%CI:0.84~0.99、p=0.027)。
・心不全による入院についても、フィネレノン群で有意なリスク低下がみられた(HR:0.83、95%CI:0.75~0.92、p<0.001)。
・複合腎イベントについても、フィネレノン群で有意なリスク低下がみられた(HR:0.80、95%CI:0.72~0.90、p<0.001)。
(ケアネット 佐藤 亮)