小児の風邪への食塩水点鼻、有症状期間を2日短縮か/ERS2024

提供元:ケアネット

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公開日:2024/09/17

 

 食塩水は風邪症候群の症状の軽減に用いられることがあるが、小児における有効性は明らかになっていない。そこで、上気道感染症を有する小児に対する高張食塩水の点鼻の有用性を検討する無作為化比較試験「ELVIS-Kids試験」が実施された。その結果、高張食塩水を点鼻することで有症状期間の中央値が2日短縮することが示された。2024年9月7~11日にオーストリア・ウィーンで開催された欧州呼吸器学会(ERS International Congress 2024)において、英国・エディンバラ大学のSteve Cunningham氏が報告した。

 本研究は、0~6歳の小児407例を対象とした。高張食塩水を点鼻する群(食塩水群)と通常どおりの治療を行う群(通常治療群)に1対1に無作為に割り付け、上気道感染症の発症がみられた301例に対して割り付け治療を実施した。食塩水群は、各鼻孔に3滴ずつ1日4回以上の高張食塩水(2.6%)の点鼻を症状の改善まで行った。評価項目は、日誌評価に基づく上気道感染症の症状、喘鳴などとした。

 主な結果は以下のとおり。

・有症状期間中央値は、通常治療群が8日(四分位範囲:5~11)であったのに対し食塩水群は6日(同:5~9)であり、食塩水群が有意に短縮した(p=0.004)。症状が認められてから24時間以内に点鼻を開始したサブグループでは、食塩水群で有症状期間が有意に短縮したが(p=0.002)、24時間超経過してから点鼻を開始したサブグループでは、有症状期間の短縮はみられなかった。
・ライノウイルスのみが検出されたサブグループにおいて喘鳴がみられた割合は、通常治療群が18%であったのに対し食塩水群は4%であり、食塩水群が有意に低かった(p=0.014)。
・対象の小児の家族に上気道感染症の発症がみられた割合は、通常治療群が61%であったのに対し食塩水群は46%であり、食塩水群が有意に低かった(p=0.008)。
・市販薬の使用は、通常治療群が36%であったのに対し食塩水群は25%であり、食塩水群が有意に少なかった(p=0.04)。

(ケアネット 佐藤 亮)

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