インフルワクチン接種と急性腎障害の関連~高齢者での検討

提供元:ケアネット

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公開日:2024/09/20

 

 インフルエンザワクチン接種後に急性腎障害(AKI)を発症した症例が報告されているが、その関連を示す集団レベルのエビデンスはない。韓国・Ewha Womans UniversityのHaerin Cho氏らによる大規模データベースを用いた自己対照ケースシリーズ研究の結果、インフルエンザワクチンの接種は65歳以上の高齢者のAKIリスク低下と関連することが明らかになった。Pharmacoepidemiology and Drug Safety誌2024年9月号掲載の報告より。

 本研究では、韓国疾病管理庁の予防接種登録データと国民健康保険サービスの請求データを組み合わせた大規模データベースが使用された。ワクチン接種時に65歳以上で、2018~19年または2019~20年インフルエンザシーズン(それぞれ9月1日~翌4月30日まで)に、インフルエンザワクチンを1回以上接種し、接種後にAKIで入院した患者が対象。腎疾患の既往がある症例は除外された。

 リスク期間をワクチン接種後1~28日、観察期間をインフルエンザの各流行シーズン、対照期間を接種前14日間およびリスク期間を除く観察期間として、自己対照ケースシリーズ研究を実施した。補正後発生率比(aIRR)は、条件付きポアソン回帰モデルを使用して、腎毒性を有する薬剤の使用とインフルエンザ感染による補正後、計算された。

 主な結果は以下のとおり。

・2018~19年と2019~20年のシーズンにインフルエンザワクチンを接種した722万2,439人が特定された。このうち、5万8,023例がAKIにより入院していた。
・AKI入院患者のうち、腎疾患の既往がある症例、9月1日以前の発症例などが除外され、解析対象となったのは2018~19年:1万6,713例、2019~20年:1万6,272例であった。
・リスク期間におけるaIRRは、2018~19年シーズン(aIRR:0.83、95%信頼区間[CI]:0.79~0.87)および2019~20年シーズン(aIRR:0.86、95%CI:0.82~0.90)のいずれにおいても、対照期間と比較して統計学的に有意に減少していた。

 著者らは、今回の結果は台湾で行われた研究結果1)と一致しており、インフルエンザワクチン接種が高齢者のAKI予防に役立つ可能性が示唆されるとともに、高齢者への毎年のインフルエンザ予防接種推奨が裏付けられたとしている。一方、インフルエンザワクチンとAKIを関連付ける生物学的メカニズムを明らかにするには、さらなる研究が必要と指摘している。

(ケアネット 遊佐 なつみ)

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