多くの研究で、認知機能低下と食習慣との関連が報告されているが、チーズの摂取との関連は、これまであまり注目されていなかった。国立長寿医療研究センターの鈴木 隆雄氏らは、65歳以上の地域在住の日本人女性1,035人を対象に、チーズの摂取量や種類と認知機能との関連を調査するため、疫学研究を実施した。Nutrients誌2024年8月22日号の報告。
身体測定、機能的能力、チーズを含む食品の摂取頻度を評価した。認知機能の評価には、ミニメンタルステート検査(MMSE)を用い、スコアが20〜26の場合、軽度認知機能低下と定義した。
主な結果は以下のとおり。
・MMSEスコアの統計学的に有意な差は、チーズ摂取の有無およびカマンベールチーズ摂取の有無において、認められた。
●チーズの摂取:28.4±1.9 vs.チーズ以外の摂取:27.6±2.4
●カマンベールチーズの摂取:28.7±1.4 vs.その他:28.3±2.0
・交絡因子で調整した後、多重ロジスティック回帰分析では、軽度認知機能低下と有意に関連する次の4つの独立変数が特定された。
●カマンベールチーズの摂取(オッズ比:0.448、95%信頼区間:0.214〜0.936)
●年齢
●通常時の歩行速度
●機能的嚥下障害スクリーニングテストスコア
著者らは「日本の地域在住の高齢女性の横断的なデータに基づくものではあるが、カマンベールチーズの摂取と軽度認知機能低下との間に有意な逆相関が認められることが明らかとなった」としている。
(鷹野 敦夫)