転移/再発のHR+/HER2-乳がんへのサシツズマブ ゴビテカン(SG)の有用性を検討したTROPiCS-02試験において、SGが化学療法に比べ無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を有意に改善したことが報告されているが、本試験にはアジア人患者が3%しか登録されていない。今回、アジア人患者を対象とした無作為化第III相試験(EVER-132-002)で、SGが化学療法と比べPFSおよびOSの有意かつ臨床的意義のある改善を示したことを、中国・Chinese Academy of Medical Sciences & Peking Union Medical CollegeのBinghe Xu氏らが報告した。Nature Medicine誌オンライン版2024年10月1日号に掲載。
・対象:転移または局所再発した切除不能のHR+/HER2-乳がんで、転移後に内分泌療法またはタキサンによる治療を1ライン以上、化学療法を2~4ライン受けたアジア(中国・台湾・韓国)人の患者
・試験群:SG(1、8日目に10mg/kg静注、3週ごと)
・対照群:医師選択による化学療法(エリブリン、カペシタビン、ゲムシタビン、ビノレルビンから選択)
・評価項目:
[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)によるPFS
[副次評価項目]OS、BICRによる奏効率(ORR)・奏効期間(DOR)・臨床的有用率(CBR)、安全性、QOLなど
主な結果は以下のとおり。
・2020年12月9日~2022年12月2日にスクリーニングされた485例中、331例がSG群(166例)と化学療法群(165例)に無作為に割り付けられた。
・追跡期間中央値は、患者全体で13.4ヵ月(範囲:0.1~28.7)、SG群で14.5ヵ月(同:1.3~27.8)、化学療法群で12.7ヵ月(同:0.1~28.7)だった。
・PFSはSGで改善し(ハザード比[HR]:0.67、95%信頼区間[CI]:0.52~0.87、p=0.0028)、中央値はSG群が4.3ヵ月、化学療法群が4.2ヵ月だった。
・OSもSGで改善し(HR:0.64、95%CI:0.47~0.88、p=0.0061)、中央値はSG群が21.0ヵ月、化学療法群が15.3ヵ月だった。
・ORRはSG群が20%、化学療法群が15%、DOR中央値はSG群が5.3ヵ月、化学療法群が5.2ヵ月だった。
・Grade3以上の治療関連有害事象で多かったのは、好中球減少、白血球減少、貧血であった。
著者らは「本試験におけるSG の有効性と安全性はTROPiCS-02 試験の結果と一致しており、アジア人の内分泌療法抵抗性で既治療の転移/再発のHR+/HER2-乳がん患者における新たな治療選択肢としてSGを投与することを支持している」とまとめている。
(ケアネット 金沢 浩子)