不健康な食生活や不健康な睡眠時間を含むライフスタイルは、うつ病の修正可能なリスク因子として広く知られている。中国・四川大学のYue Du氏らは、食事の質、睡眠時間、抑うつ症状との関連およびこれらの複合的な影響を調査するため、本研究を実施した。BMC Public Health誌2024年9月27日号の報告。
対象は、2007〜14年のNHANESデータから抽出された20歳以上の成人1万9,134人。不健康な食生活は、Healthy Eating Index-2015の平均スコア60パーセンタイル未満、不健康な睡眠時間は、夜間の睡眠時間が7時間未満または9時間以上とした。対象者をライフスタイル別に4群に分類した。分析には、関連変数をコントロールする重み付け多変量ロジスティック回帰を用いた。さらに、ロバスト性を評価し、潜在的な高リスク群を特定するため、層別化分析を行った。
主な結果は以下のとおり。
・全体のうつ病有病率は8.44%。
・健康的な睡眠時間の基準を満たした人は56.58%、健康的な食生活の基準を満たした人は24.83%であった。
・不健康な食生活および不健康な睡眠時間は、抑うつ症状と正の相関が認められた。
【不健康な食生活】オッズ比(OR):1.40、95%信頼区間(CI):1.18〜1.67、p<0.001
【不健康な睡眠時間】OR:1.94、95%CI:1.63〜2.31、p<0.001
・健康的な食生活と睡眠時間の基準を満たした人と比較し、いずれかまたは両方が不健康な人は、抑うつ症状と有意な関連が認められた。
【不健康な食生活+健康的な睡眠時間】OR:1.60、95%CI:1.20〜2.13、p=0.002
【健康的な食生活+不健康な睡眠時間】OR:2.50、95%CI:1.64〜3.80、p<0.001
【不健康な食生活+不健康な睡眠時間】OR:2.91、95%CI:2.16〜3.92、p<0.001
・層別分析では、女性、中年、大学卒業以上の学歴、推奨される身体活動レベルを満たしていない人は、不健康な食生活+不健康な睡眠時間により、抑うつ症状に対する感受性が上昇することが示唆された。
著者らは「不健康な食生活と不健康な睡眠時間の人、とくに女性、中年、大学卒業以上の学歴、推奨される身体活動レベルを満たしていない人は、抑うつ症状を呈しやすいことが示唆された」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)