これまでの多くの研究から、食事からの微量栄養素の摂取と便秘発生との相関関係が示されている。中国・蘇州大学付属病院Wenyi Du氏らは、国民健康栄養調査(NHANES)の成人参加者におけるデータを用い、食事におけるビタミンB1摂取と慢性便秘との関連を調べた。BMC Gastroenterology誌2024年5月17日号の報告。
2005~10年に実施されたNHANESのデータを使用した。ビタミンB1摂取に関するデータは24時間の総栄養摂取量インタビューを通じて収集された。参加者はデータ収集前の30日間に記録された糞便の特徴と排便頻度に関する情報を提供し、便秘は排便頻度(週3回未満)または便の硬さ(ブリストル便スケールタイプ1または2)によって判定された。ビタミンB1摂取量に基づいて低量群(0.064~1.20mg)、中量群(1.21~1.75mg)、多量群(1.76~12.61mg)の3群に分け、年齢、性別、人種、BMI、婚姻状況、アルコール摂取、喫煙状況、世帯収入と貧困率の比率(PIR)、既存の併存疾患、食事摂取因子で調整した。
主な結果は以下のとおり。
・対象となった成人1万371例のうち1,123例(10.8%)が慢性便秘症だった。多重ロジスティック回帰分析により、ビタミンB1の食事摂取量の増加が便秘のリスク低下と有意に関連していることが示された(オッズ比[OR]:0.87、95%信頼区間[CI]:0.77~0.99)。
・ビタミンB1摂取量が多いほど、便秘の発生率が有意に低下した。便秘の有病率は多量群では7.69%、中量群では10.7%、低量群では14.09%だった。
・サブグループ分析により、ビタミンB1摂取量と便秘有病率に有意な逆相関が見られるグループが特定された。男性は20%、高血圧のない人は16%、糖尿病のない人は14%、それぞれ便秘リスクが減少することが判明した。
研究者らは「この研究で、食事中のビタミンB1の摂取と慢性便秘の発生との間に逆相関があることが明らかになった。この関連は、食事によるビタミンB1の摂取量を増やすと便が柔らかくなり、腸の運動が活発になり、便秘症状が緩和される可能性があることを示唆している。医療専門家は、医学的介入に先立つ初期治療アプローチとして、バランスの取れた食事の促進を優先するようアドバイスすべきだ」としている。
(ケアネット 杉崎 真名)