統合失調症の多剤併用から単剤療法への切り替えによる副作用への影響〜SwAP試験II

提供元:ケアネット

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公開日:2024/10/21

 

 オランダ・マーストリヒト大学のMushde Shakir氏らは、統合失調症入院患者における抗精神病薬多剤併用療法から単剤療法への切り替えが、各種副作用にどのような影響を及ぼすかを調査した。Schizophrenia Research誌2024年12月号の報告。

 対象となる副作用には、精神症状、自律神経症状、性機能障害、代謝系副作用、運動機能障害を含めた。オランダの精神科病院2施設の慢性期入院患者136例を対象に、9ヵ月間の並行ランダム化オープンラベル臨床試験を実施した。対象患者は、併用継続群または切り替え群のいずれかにランダムに割り付けた。切り替え群は、第1世代または第2世代抗精神病薬のいずれかを中止する3ヵ月間の漸減期間を設けた後、単剤療法を実施した。評価は、ベースライン時およびフォローアップ3ヵ月、6ヵ月、9ヵ月後に実施した。精神学的、神経学的、自律神経学的、性機能関連副作用の評価には、UKU副作用評価尺度を用い、運動機能障害の測定には、St. Hans評価尺度を用いた。各代謝パラメーターも収集した。

 主な結果は以下のとおり。

・併用継続群では、性欲にわずかな低下が認められた以外、副作用は時間経過とともにおおむね安定していた。
・対照的に、切り替え群では、精神学的および自律神経学的症状が有意に軽減し、アカシジア、パーキンソン症状、ジスキネジアの改善が認められた。
・切り替え群では、ジストニア、知覚異常、てんかん、性的症状に変化は認められなかった。
・さらに、切り替え群では、BMIおよび体重も有意な減少が認められた。

 著者らは「長期入院患者では、多剤併用療法から単剤療法へ切り替えることにより、運動機能障害や代謝系副作用など、さまざまな副作用の重症度軽減が期待できる」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)