転移を有するホルモン感受性前立腺がん(mHSPC)に対する、アビラテロン、エンザルタミド、アパルタミドという3剤のアンドロゲン受容体経路阻害薬(ARPI)の有効性と安全性を比較した多施設共同研究の結果、全生存期間(OS)、がん特異的生存期間(CSS)、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)までの期間について、3剤の差はみられなかった。東京慈恵会医科大学の柳澤 孝文氏らによるProstate誌オンライン版2024年10月17日号掲載の報告。
本研究では、2015年9月~2023年12月にARPI+アンドロゲン除去療法を受けたmHSPC患者668例の記録を後ろ向きに解析した。LATITUDE基準に基づいた高リスク患者を対象に、前立腺特異抗原(PSA)低下率95%および99%の達成率などのPSA反応、OS、CSS、CRPCまでの期間、有害事象(AE)の発生率が比較された。すべての群間比較において、交絡因子の影響を最小化するために傾向スコアマッチングが用いられた。
主な結果は以下のとおり。
・アビラテロンで治療された297例、エンザルタミドで治療された127例、アパルタミドで治療された142例が比較された。
・CRPCまでの期間(p=0.13)、OS(p=0.7)、CSS(p=0.5)について3つのARPI間で差はみられなかった。
・3ヵ月後のPSA低下率95%の達成率について3つのARPI間で差はみられなかったが、PSA低下率99%の達成率はアビラテロンがアパルタミドと比較して有意に優れていた(72% vs. 57%、p=0.003)。
・最も発生率の高かったAEはアパルタミド治療後の皮疹(34%)だったが、3つのARPI 間で重度のAEの発生率に差はなかった。
・エンザルタミドは、ほかのARPIと比較して、病勢進行以外による治療中止率が最も低かった(10%)。
(ケアネット 遊佐 なつみ)