実臨床のスタチン、ロスバスタチンvs.アトルバスタチン

ストロングスタチンに分類されるロスバスタチンとアトルバスタチンは、実臨床で広く用いられているが、実臨床におけるエビデンスは限られている。そこで、中国・南方医科大学のShiyu Zhou氏らの研究グループは、中国および英国のデータベースを用いて、両薬剤の有効性・安全性を比較した。その結果、ロスバスタチンはアトルバスタチンと比較して全死亡、主要心血管イベント(MACE)、肝重症有害事象(MALO)のリスクをわずかに低下させることが示唆された。本研究結果は、Annals of Internal Medicine誌オンライン版2024年10月29日号に掲載された。
本研究では、China Renal Data System(CRDS)およびUKバイオバンクのデータベースを用いて、心血管疾患予防を目的としてロスバスタチンまたはアトルバスタチンが処方された成人患者28万5,680例を抽出した。両薬剤の比較にはtarget trial emulationの手法を用い、1対1の割合で傾向スコアマッチングを行った。主要評価項目は全死亡とした。
主な結果は以下のとおり。
・6年間の全死亡率(100人年当たり)は、ロスバスタチン群がアトルバスタチン群よりも低かった(CRDS:2.57 vs.2.83、UKバイオバンク:0.66 vs.0.90)。
・累積全死亡率の群間差(ロスバスタチン群-アトルバスタチン群)はCRDSでは-1.03%(95%信頼区間[CI]:-1.44~0.46)、UKバイオバンクでは-1.38%(同:-2.50~-0.21)であり、ロスバスタチン群が低かった。
・両データベースの対象患者において、ロスバスタチン群はアトルバスタチン群と比較して、MACEとMALOのリスクが低かった。
・UKバイオバンクの対象患者において、ロスバスタチン群はアトルバスタチン群と比較して、2型糖尿病発症リスクが高かった。慢性腎臓病発症リスクや、その他のスタチンに関連する有害作用のリスクは同程度であった。
本研究結果について、著者らは「複数の評価項目において、ロスバスタチンとアトルバスタチンでリスクの差がみられたが、その差は比較的小さく、これらの知見を臨床現場で確信をもって活用するには、さらなる研究が必要である」とまとめた。
(ケアネット 佐藤 亮)
関連記事

脂質低下療法の効果にストロングスタチン間の違いはあるのか?(解説:平山篤志氏)
CLEAR!ジャーナル四天王(2023/11/14)

中等度スタチン+エゼチミブ併用は高用量スタチンに比べて、心血管疾患再発予防に非劣性で、かつ有害事象は少ない:ただしわが国とスタチン用量が異なる点は注意が必要(解説:桑島巖氏)
CLEAR!ジャーナル四天王(2022/08/16)

スタチン開始後の効果、高齢者では大きい!?
医療一般(2023/09/04)
[ 最新ニュース ]

5価髄膜炎菌ワクチン、単回接種で良好な免疫応答/Lancet(2025/04/03)

ARDSの鎮静、セボフルラン対プロポフォール/JAMA(2025/04/03)

日本人へのbempedoic acid、LDL-C20%超の低下を認める(CLEAR-J)/日本循環器学会(2025/04/03)

造血幹細胞移植後のLTFUを支える試み/日本造血・免疫細胞療法学会(2025/04/03)

PTSDに対するブレクスピプラゾール治療、単剤療法と併用療法の有効性(2025/04/03)

非専門医とはすでに同等!?医師vs.生成AIの診断能力を比較(2025/04/03)

母乳育児は子どもの血圧低下に関連(2025/04/03)
[ あわせて読みたい ]
トレンド・トーク『肺がん』(2024/06/11)
Dr.大塚の人生相談(2024/02/26)
災害対策まとめページ(2024/02/05)
IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01)
旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29)
エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11)
医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01)
アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11)
アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11)
診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17)