ペムブロリズマブのNSCLC周術期治療(KEYNOTE-671)は日本人でも有効/日本肺癌学会

提供元:ケアネット

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公開日:2024/11/11

 

 ペムブロリズマブの非小細胞肺がん(NSCLC)周術期治療(KEYNOTE-671)は米国、欧州に続き、本邦でも2024年8月28日にNSCLCにおける術前・術後補助療法の適応を取得している。この根拠となった第III相「KEYNOTE-671試験」における日本人集団の結果について、聖マリアンナ医科大学 呼吸器外科主任教授の佐治 久氏が第65回日本肺癌学会学術集会で発表した。

試験デザイン:国際共同無作為化二重盲検第III相試験
対象:切除可能なStageII、IIIA、IIIB(N2)のNSCLC患者(AJCC第8版に基づく)
試験群:ペムブロリズマブ200mg+化学療法(シスプラチン[75mg/m2]+ゲムシタビン[1,000mg/m2を各サイクル1、8日目]またはペメトレキセド[500mg/m2])を3週ごと最大4サイクル→手術→ペムブロリズマブ200mgを3週ごと最大13サイクル(ペムブロリズマブ群:397例)
対照群:プラセボ+化学療法(同上)を3週ごと最大4サイクル→手術→プラセボを3週ごと最大13サイクル(プラセボ群:400例)
評価項目:
[主要評価項目]無イベント生存期間(EFS)および全生存期間(OS)
[副次評価項目]病理学的奏効(mPR)、病理学的完全奏効(pCR)、有害事象など

 追跡期間中央値36.6ヵ月の時点における全体集団のEFS中央値は、ペムブロリズマブ群では47.2ヵ月、プラセボ群では18.3ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.59、95%信頼区間[CI]:0.48~0.72)。OS中央値は、ペムブロリズマブ群では未到達、プラセボ群では52.4ヵ月であった(HR:0.72、95%CI:0.56~0.93、p=0.0052[片側])。

 日本人集団における主な結果は以下のとおり。

・全体集団797例中、日本人は82例(10.3%)(ペムブロリズマブ群39例、プラセボ群43例)であった。手術に至った割合はペムブロリズマブ群85%(33例)、プラセボ群91%(39例)であり、全体集団(ペムブロリズマブ群82%、プラセボ群79%)より良好であった。
・データカットオフ時点(2023年7月10日)におけるEFS中央値は、ペムブロリズマブ群では未到達、プラセボ群では32.8ヵ月であった(HR:0.62、95%CI:0.33~1.19)。3年EFS率は、それぞれ66.1%、45.1%であった。
・OS中央値は、両群ともに未到達であった(HR:0.87、95%CI:0.34~2.20)。3年OS率はペムブロリズマブ群では78.0%、プラセボ群では77.9%であった。
・ペムブロリズマブ群のmPR率は28.2%(95%CI:15.0~44.9)、pCR率は12.8%(95%CI:4.3~27.4)、プラセボ群のmPR率は7.0%(95%CI:1.5~19.1)、pCR率は2.3%(95%CI:0.1~12.3)であり、ペムブロリズマブ群で良好であった。
・Grade3以上の治療関連有害事象(TRAE)はペムブロリズマブ群59%(23例)、プラセボ群47%(20例)に認められ、Grade3以上の免疫関連有害事象(irAE)およびインフュージョンリアクション(IRR)は、ペムブロリズマブ群で18%(7例)に認められた。両群ともに死亡に至ったTRAE、irAE、IRRは認められなかった。

 佐治氏は、今回の有効性、安全性の結果はKEYNOTE-671試験の全体集団の結果と同等であるとし、「日本人におけるペムブロリズマブの術前・術後補助療法の使用を支持するものである」とまとめた。

(ケアネット 新開 みのり)