40歳未満の2型糖尿病、合併症と死亡率は?~最長30年の前向き調査

提供元:ケアネット

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公開日:2024/11/12

 

 新たに2型糖尿病と診断された患者を前向きに最長30年間追跡した調査において、40歳未満で診断された患者は、40歳以上で診断された患者に比べて糖尿病関連合併症の発症や死亡のリスクが高く、血糖コントロールが20年にわたって不良であることが、オーストラリア・シドニー大学のBeryl Lin氏らによって明らかになった。Lancet Diabetes & Endocrinology誌オンライン版2024年10月23日号掲載の報告。

 これまでの研究によって、若年成人期に発症した2型糖尿病は、β細胞機能の劣化が早く、心血管系疾患や腎症などの合併症リスクが大きいことが示唆されているが、若年成人の2型糖尿病に特化した前向きコホート研究はほとんどない。そこで研究グループは、40歳未満と40歳以上で診断された2型糖尿病患者の合併症の発症率や死亡率を比較するために調査を実施した。

 本研究では、英国糖尿病前向き研究(UKPDS)の追跡調査データ(追跡期間中央値:17.5年、範囲:0.31~30.0年)を用いた。対象は、新たに2型糖尿病と診断された25~65歳の患者であった。英国の一般集団のデータを用いて標準化死亡比(SMR)を算出し、ポアソン回帰モデルを使用して診断時の年齢グループ(10歳間隔)別の糖尿病関連の合併症や死亡の発生率を分析した。

 主な結果は以下のとおり。

●UKPDS試験に登録された5,102例の2型糖尿病患者のうち、糖尿病関連自己抗体が陰性であった4,550例を本研究の対象とした。40歳未満群は429例(9.4%)で年齢中央値は35.1歳、40歳以上群は4,121例(90.6%)で年齢中央値は53.8歳であった。
●7万4,979人年の追跡期間中に2,048例が死亡した。粗死亡率は年齢が若い40歳未満群のほうが40歳以上群よりも低かったが、一般集団と比較したSMRは40歳未満群のほうが高かった。
 ・40歳未満群のSMR:3.72、95%信頼区間(CI):2.98~4.64
 ・40歳以上群のSMR:1.54、95%CI:1.47~1.61
●診断時の年齢グループでさらに層別化すると、24~35歳で2型糖尿病と診断された最年少グループのSMRが最も高く、診断時の年齢が上がるにつれて低下した。
 ・25~35歳診断のSMR:3.85、95%CI:2.62~5.66
 ・36~45歳診断のSMR:2.46、95%CI:2.13~2.84
 ・46~55歳診断のSMR:1.74、95%CI:1.61~1.87
 ・56~65歳診断のSMR:1.39、95%CI:1.31~1.48
●どの年齢においても、糖尿病関連エンドポイント(合併症、死亡)、全死因死亡、微小血管疾患、心筋梗塞の5年発症率は診断時年齢が若いほど高かった。
●40歳未満群では、追跡期間の最初の20年間の年間平均HbA1cが40歳以上群よりも高かった。
●血糖コントロール目標(強化血糖コントロールまたは従来の血糖コントロール)は上記の関連に有意な影響を与えなかった。

(ケアネット 森)