改訂GLに追加のNSCLCへのニボルマブ+化学療法+ベバシズマブ、OS・PFS最終解析結果(TASUKI-52)/日本肺癌学会

提供元:ケアネット

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公開日:2024/11/15

 

 非扁平上皮非小細胞肺がん(Non-Sq NSCLC)の1次治療における、プラチナ製剤を含む化学療法+ベバシズマブへのニボルマブ上乗せの有用性を評価した国際共同第III相試験「TASUKI-52試験」の最終解析の結果が、第65回日本肺癌学会学術集会で中川 和彦氏(近畿大学病院 がんセンター長)により報告された。すでにニボルマブ上乗せにより無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)が改善することが報告されており1)、この結果を基に『肺癌診療ガイドライン2024年版』のCQ64~66に本試験のレジメンが追加されていた2)

試験デザイン:国際共同第III相無作為化比較試験(日本、韓国、台湾で実施)
対象:EGFR遺伝子変異、ALK融合遺伝子、ROS1融合遺伝子がいずれも陰性で、StageIIIB/IVの未治療Non-Sq NSCLC患者550例(日本人:371例)
試験群(ニボルマブ群):ニボルマブ(360mg)+カルボプラチン(AUC 6)+パクリタキセル(200mg/m2)+ベバシズマブ(15mg/kg)を3週ごと最大6サイクル→ニボルマブ+ベバシズマブ 275例(日本人:188例)
対照群(プラセボ群):プラセボ+カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブを3週ごと最大6サイクル→プラセボ+ベバシズマブ 275例(日本人:183例)
評価項目:
[主要評価項目]独立画像判定委員会(IRRC)判定によるPFS
[副次評価項目]OS、奏効割合(ORR)、治験担当医師評価によるPFS、安全性など

 主な結果は以下のとおり。

・両群間の患者背景はバランスがとれており、年齢中央値は66歳、女性の割合は約25%であった。
・OS中央値は、ニボルマブ群31.6ヵ月、プラセボ群24.7ヵ月であり、ニボルマブ群が有意に良好であった(ハザード比[HR]:0.71、95%信頼区間[CI]:0.58~0.88、p=0.0013)。4年OS率は、それぞれ34.7%、22.1%であった。
・OSのサブグループ解析において、骨転移を有する集団(HR:1.01)以外はニボルマブ群が良好な傾向にあった。
・PD-L1発現状況別にみた各群のOS中央値(HR、95%CI)は以下のとおりであった。
 -PD-L1<1%:28.5ヵ月vs.23.8ヵ月(HR:0.78、95%CI:0.58~1.06)
 -PD-L1 1~49%:31.2ヵ月vs.22.7ヵ月(HR:0.63、95%CI:0.43~0.91)
 -PD-L1≧50%:33.4ヵ月vs.26.6ヵ月(HR:0.73、95%CI:0.48~1.10)
・ベースライン時の脳転移の有無別にみた各群のOS中央値(HR、95%CI)は以下のとおりであった。
 -脳転移あり:41.8ヵ月vs.25.3ヵ月(HR:0.77、95%CI:0.42~1.39)
 -脳転移なし:31.2ヵ月vs.24.7ヵ月(HR:0.71、95%CI:0.57~0.88)
・4年追跡時の治験担当医師評価によるPFS中央値は、ニボルマブ群9.9ヵ月、プラセボ群8.2ヵ月であり、ニボルマブ群が有意に良好であった(HR:0.61、95%CI:0.50~0.74、p<0.0001)。4年PFS率は、それぞれ13.7%、3.3%であった。
・4年生存の有無別に背景因子を比較すると、ニボルマブ群における4年生存の因子として、年齢65歳以下、骨転移なしが挙げられた。
・ニボルマブ群の4年生存例におけるORRは87.3%、4年奏効持続割合は43.9%であった。
・ニボルマブ群の4年生存例では、後治療を受けていない割合が41.8%であった。ニボルマブ群の後治療を受けた患者のうち、放射線療法を受けた割合は39.1%、手術を受けた割合は6.5%であった。
・Grade3/4の治療関連有害事象はニボルマブ群76.2%、プラセボ群74.9%に発現した。安全性に関する新たなシグナルはみられなかった。

(ケアネット 佐藤 亮)