日本の小中高生の自殺リスク「学校に行きたくない」検索量と関連

提供元:ケアネット

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公開日:2024/11/20

 

 自殺は、日本における小児および青年期の主な死因となっている。自殺リスクの検出に、インターネットの検索量が役立つ可能性があるが、小児および青年期の自殺企図とインターネット検索量との関連を調査した研究は、これまでほとんどなかった。多摩大学の新井 崇弘氏らは、自殺者数と学校関連のインターネット検索量との関連を調査し、小児および青年期の自殺予防の主要な指標となりうる検索ワードの特定を試みた。Journal of Medical Internet Research誌2024年10月21日号の報告。

 2016〜20年の警視庁より提供された日本の小中高生における自殺企図の週次データを用いて、検討を行った。インターネットの検索量は、Googleトレンドから収集した20の学校関連ワードの週次データを用いた。自殺による死亡者数と関連ワードの検索量との時間的な前後関係とタイムラグを推定するため、グレンジャー因果性検定および相互相関分析を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・「学校に行きたくない」「勉強」の検索ワードは、自殺発生率とのグレンジャー因果性が認められた。
・相互相関分析では、「学校に行きたくない」では-2〜2(タイムラグ最高値:0、r=0.28)、「勉強」では-1〜2(タイムラグ最高値:-1、r=0.18)の範囲で有意な正の相関が認められ、自殺者数の増加に伴い検索量の増加が示唆された。
・COVID-19パンデミック期間中(2020年1〜12月)では、「学校に行きたくない」の検索傾向は、「勉強」とは異なり、自殺頻度との高い関連性が認められた。

 著者らは「『学校に行きたくない』のインターネット検索量のモニタリングは、小児および青年期の自殺リスクの早期発見につながり、Webベースのヘルプライン表示の最適化に役立つ可能性が示唆された」とまとめている。

(鷹野 敦夫)