口腔の良好な健康は、心臓の良好な健康を意味するようだ。新たなシステマティックレビューとメタアナリシスにより、歯の喪失は心血管疾患(CVD)による死亡リスクと関連しており、失った歯の本数が多いほどそのリスクは高くなる可能性のあることが明らかになった。米ケース・ウェスタン・リザーブ大学歯学部教授のAnita Aminoshariae氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of Endodontics」に6月28日掲載された。
Aminoshariae氏は、「本研究結果は、歯の喪失が単なる歯の問題ではなく、CVDによる死亡の重大な予測因子であることを明確に示すものだ」と述べている。
歯の喪失とCVDによる死亡の関連に関する過去の研究では、一致した見解が得られていない。Aminoshariae氏らは今回、論文データベースから選び出した12件の研究を対象にシステマティックレビューとメタアナリシスを実施し、歯の喪失とCVDによる死亡リスクとの関連について検討した。歯の喪失は、全歯欠損または残存歯が10本未満の場合と定義した。
その結果、歯を喪失した人では、歯を喪失していない人に比べてCVDによる死亡リスクが66%高いことが明らかになった(ハザード比1.66、95%信頼区間1.32〜2.09)。全歯欠損か残存歯が10本未満かで分けて解析すると、全歯欠損の人ではCVDによる死亡リスクが高く、この結果は研究間で一貫していた。同様に、残存歯が10本未満の人でも同リスクは増加していたが、研究間で結果にばらつきが認められた。さらに、主な交絡因子に基づく感度分析でも、歯の喪失がCVDによる死亡のリスク因子であることが確認された(ハザード比1.52、95%信頼区間1.28〜1.80)。
こうした結果を受けてAminoshariae氏は、「マジックナンバーは10本だ。残っている歯が10本未満になると、厄介な問題が起こり得る」と話す。また同氏は、「良好な口腔衛生を維持することは、健康的な笑顔のためだけでなく、健康的な心臓のためにも不可欠だ。この研究は、重篤な心血管イベントのリスクを低下させるためには、定期的な歯科検診と予防ケアが重要であることを強調している」と述べている。
[2024年7月30日/HealthDayNews]Copyright (c) 2024 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら