入院患者の14人に1人が、有害な誤診の被害者となっている可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。これらの誤診の85%は回避できた可能性があることから、研究グループは、「このような誤診を防ぐためのサーベイランスを改善する必要性を強調する結果だ」との見方を示している。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のAnuj Dalal氏らによるこの研究の詳細は、「BMJ Quality & Safety」に10月1日掲載された。
この研究は、2019年7月から2021年9月までの間にボストンの大規模病院に入院した患者9,147人の診療記録を用いて、誤診の発生状況とその影響を調べたもの。これらの患者の中から、1)集中治療室(ICU)に移された患者、2)90日以内に死亡した患者、3)複雑な臨床イベント(臨床的悪化、複数の医療チームによる治療、予期せぬ手術など)が発生した患者、4)上記3つの基準に該当しない低リスク患者、の4つの基準に従って、675人をランダムに抽出した。ただし、1)〜3)の高リスク患者は多めに選び出された(ICU入室患者の100%、90日以内に死亡した患者の38.5%、複雑な臨床イベントが生じた患者の7%、低リスク患者の2.4%)。患者が被った被害の程度は、軽度、中等度、重度、致命的の4つに分類し、また誤診がその被害の原因であったのかや回避可能だったかについても評価された。
対象患者のうちの154人に160件の誤診が確認された(ICU入室54件、90日以内の死亡34件、複雑な臨床イベント52件、低リスク20件)。160件の誤診のうち、有害な誤診は84件だった。このうちの37件はICU入室患者、23件は複雑な臨床イベントが生じた患者、18件は90日以内に死亡した患者、6件は低リスク患者に生じていた。有害の程度は、軽度5件(6%)、中等度36件(43%)、重度25件(30%)、致死的18件(21.5%)だった。また、このような有害な誤診の85%は回避可能であったことが示唆された。さらに、予防可能な誤診リスクが最も高かったのは、高齢、白人、非ヒスパニック系の患者と公的保険の利用患者、高リスク患者であった。重み付けされた675人の結果を基にすると、全患者(9,147人)における有害な誤診、予防可能な有害な誤診、有害性が重度の誤診の発生率は、それぞれ7.2%(95%信頼区間4.66〜9.80)、6.1%(同3.79〜8.50)、1.1%(同0.55〜1.68)と推定された。
以上のような結果が示されたものの、研究グループは、「この研究結果は単一の医療センターにおける、入院期間が21日未満の患者から得られたものであり、また、電子医療記録の情報に依存しているため不正確なデータが含まれている可能性がある」と強調し、慎重な解釈を求めている。
[2024年10月2日/HealthDayNews]Copyright (c) 2024 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら