血圧測定、腕の位置により過大評価も

自宅で血圧を測定する際には、腕の位置に注意する必要があるようだ。米ジョンズ・ホプキンス大学医学部小児科臨床研究副委員長のTammy Brady氏らによる新たな研究で、血圧測定の際には、腕の位置によって測定値が過大評価され、高血圧の誤診につながる可能性のあることが明らかになった。この研究結果は、「JAMA Internal Medicine」に10月7日掲載された。
米国心臓協会(AHA)によると、米国では成人の半数近くが高血圧であるという。高血圧を治療せずに放置すると、脳卒中、心筋梗塞やその他の重篤な心疾患のリスクが高まる。AHAのガイドラインでは、血圧は、適切なサイズのカフを用いて、背もたれのある椅子などで背中を支え、足は組まずに床につけた状態で、適切な腕の位置で測定することを求めている。「適切な腕の位置」とは、血圧計のカフが心臓の高さになるようにして、腕はテーブルなどの上に置くことだと説明している。しかしBrady氏らは、診察の際に、患者が腕をほとんど支えられていない状態で血圧を測定されることが多いことを指摘する。
このことを踏まえてBrady氏らは今回の研究で、血圧測定中の腕の位置(机の上に乗せた状態、膝の上に置いた状態、脇にぶら下げた状態)が測定値に与える影響を調査した。対象者の18〜80歳の成人133人(平均年齢57歳、女性53%)は、測定時の腕の位置の順序が異なる6つの群にランダムに割り付けられた。まず、全員が膀胱を空にし、2分間の歩行を行い、5分間休憩した。その後、上述の3種類の腕の位置で、上腕に合ったサイズのカフを装着して、30秒間隔で3回の測定を1セットとする血圧測定を3セット受けた。セットとセットの間には2分間の歩行と5分間の休憩をはさんだ。また、腕を机に乗せた状態で4セット目の測定も受けた。
その結果、腕を膝の上に置いた状態で血圧を測定すると、机に乗せた状態での測定に比べて収縮期血圧の平均値が3.9mmHg、拡張期血圧の平均値が4.0mmHg高くなることが明らかになった。また、腕を支えずに脇にぶら下げた状態で測定した場合には、机に乗せた状態での測定に比べて収縮期血圧の平均値は6.5mmHg、拡張期血圧の平均値は4.4mmHg高くなっていた。
論文の筆頭著者であるジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のHairong Liu氏は、「常に腕を支えずに血圧を測っていると、収縮期血圧の値が実際よりも6.5mmHg高くなる可能性がある。これはつまり、123mmHgであるはずの収縮期血圧が130mmHgに、あるいは133mmHgが140mmHgになる可能性があるということだ。収縮期血圧140mmHgはステージ2の高血圧に分類される値だ」と話す。
ただし研究グループは、これらの結果は自動血圧計による測定に限定されるもので、他の機器による測定に当てはまらない可能性があるとしている。それでもBrady氏は、「この研究結果は、臨床医がベストプラクティス・ガイドラインにもっと注意を払う必要があることを示唆している」と、ジョンズ・ホプキンス大学のニュースリリースの中で述べている。
[2024年10月7日/HealthDayNews]Copyright (c) 2024 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら
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