安定COPD患者における運動中の交感神経活性に対するチオトロピウムの効果

提供元:ケアネット

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公開日:2012/06/11

 



チオトロピウムはオキシトロピウムに比べ、運動時の交感神経活性を抑制することが国立病院機構 刀根山病院の好村氏らによって報告された。好村氏らは「交感神経活性の抑制効果は呼吸機能、運動耐容能の改善や労作時の息切れを減少させる要因となると考えられ、呼吸数や心拍数の減少、動脈のアシドーシスの進展抑制とも関連していることが示唆された」と結論している。これまでチオトロピウムがCOPD患者の労作時の息切れを改善することや、うっ血性心不全のリスクを低下させることが知られていたが、運動時の交感神経活性に対する効果については知られていなかった。Int J Chron Obstruct Pulmon Dis 誌2012年5月22日(オンライン版2012年5月2日)掲載の報告。

本試験の対象は10pack-years以上の喫煙歴※をもつ40歳以上のCOPD患者17例(女性3例、男性14例)。ベースライン時の数値はFVC(努力肺活量)<70%、FEV1 predicted (予測1秒量)<80%であった。12週間のオープンラベルクロスオーバー試験において、チオトロピウム 18μg/日、もしくはオキシトロピウム 0.2mg×3mg/日を投与し、試験後に呼吸機能検査とエルゴメーターを用いた心肺運動負荷試験、動脈のカテコールアミンの計測が行われた。
(※1日1箱(20本)を10年間続けた状態)

主な結果は以下のとおり。

・チオトロピウム群のFEV1とFVCは(1.06±0.39L、2.33±0.74L)で、オキシトロピウム群(同0.97±0.43L、2.05±0.77L)と比較し、有意に高かった(各p=0.003、p=0.002)。
・チオトロピウム群の運動耐容時間は(504±291秒)で、オキシトロピウム群(同397±201秒)と比較し、有意に長かった(p=0.007)。
・チオトロピウム群の運動負荷試験中における血漿ノルエピネフリンの濃度は(1.95±0.63ng/mL)で、オキシトロピウム群(同2.08±0.81ng/mL)よりも低く、とくに開始から400秒時点では、チオトロピウム群で有意に低い傾向がみられた(p=0.015)。

(ケアネット 鎌滝 真次)