新規2型糖尿病におけるインスリン持効型の投与は心血管疾患を増やすのか?

提供元:ケアネット

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公開日:2012/06/21

 

ORIGIN試験(Outcome Reduction with an Initial Glargine Intervention)研究グループは、11日、境界型を含む2型糖尿病患者に持効型インスリンを投与しても、従来治療に比べ、心血管イベント発生、がん発生に差を認めなかったことをNEJM誌オンライン速報版に発表した。このORIGIN試験では40ヵ国で2003年9月~2005年12月までに参加登録された症例を6年間追跡した。研究費提供元はサノフィ。
 
[国内での販売名]
 インスリングラルギン・・・ランタス

空腹時血糖異常(IFG)、耐糖能異常(IGT)または新規2型糖尿病を受けた、心血管疾患イベント高リスク者12,537例が対象となった。対象患者は、2x2 factorialデザインにより、標準治療群とインスリングラルギン投与群(以下、持効型インスリン群)のいずれかに無作為に割り付けられた。その後ω3系多価不飽和脂肪酸投与群とプラセボ投与群にも無作為に割り付けられた。

主要評価項目は、「非致死性心筋梗塞+非致死性脳卒中+心血管死」の3項目から成る心血管疾患複合エンドポイント。副次評価項目は、主要評価項目に「血行再建術」と「心不全による入院」を加えた5項目から成る心血管疾患複合エンドポイント。

主な結果は、下記のとおり。
1. 追跡期間の中央値は6.2年。
2. 主要評価項目である心血管疾患複合エンドポイント(3項目)の発生は、
 持効型インスリン群2.94/100人・年、標準治療群2.85/100人・年。
 ハザード比=1.02(95%信頼区間=0.94-1.11、P=0.63)。
3. 心血管疾患複合エンドポイント(5項目)の発生は 、
 持効型インスリン群5.52/100人・年、標準治療群5.28/100人・年。
 ハザード比=1.04( 95%信頼区間=0.97〜1.11,P=0.27)。
4. ベースライン時に糖尿病と診断されていない1,456例における
 糖尿病新規発症率は、持効型インスリン群 30%、
 標準治療群35%(オッズ比=0.80。95%信頼区間=0.64~1.00、P=0.05)。
5. 重篤な低血糖は 持効型インスリン群で1.00/100人・年、
 標準治療群で0.31/100人・年と、持効型インスリン群で有意に高率(P<0.001)。
6. 平均体重の増加は 持効型効型インスリン群で1.6kg増、標準治療群で0.5kg減。
7. 標準治療群に対する持効型インスリン群のがん発生のハザード比は
 1.00(95%信頼区間=0.88〜1.13、P=0.97)。

(ケアネット 藤原 健次)