切除可能なStageII/III大腸がん患者に対して、術前のテガフール坐剤の投与が、主に遠隔転移を抑えることによって再発を防ぎ生存率を改善する可能性が、Oncology誌オンライン版2012年6月21日号で報告された。この結果から、大腸がんにおける術前治療としてテガフール坐剤の有用性が示唆されるとしている。慶應義塾大学の岡林氏らの報告。
本試験は、フッ化ピリミジン系薬を静注および経口投与後、テガフール坐剤を術前投与することにより、再発抑制の上乗せ効果を評価した多施設無作為化対照試験である。T3/4大腸がん患者をテガフール坐剤術前投与群(A群)または術前治療なし群(B群)に無作為に割り付け、比較検討した。主要エンドポイントは無病生存率(DFS)および全生存率(OS)。平均追跡期間はA群で80.9±31.0ヵ月、B群で64.5±28.8ヵ月であった。
主な結果は以下のとおり。
・5年DFSは、A群89.3%、B群70.3%(p=0.045)。
・5年OSは、A群91.4%、B群73.2%(p=0.051)。
・両群間の累積遠隔転移率に有意な差がみられた(A群7.4%、B群23.4%、p=0.03)。
・両群間の累積局所再発率には有意差はみられなかった(A群4.6%、B群8.2%、p=0.68)。
(ケアネット 金沢 浩子)