持効性注射剤のメリットは?アドヒアランスだけではなかった 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2012/08/02 画像研究や死後脳研究などから, 統合失調症患者では前頭葉皮質内のミエリン形成の異常が多く認められる。ミエリンは、軸索伸長の阻害や神経可塑性に関わることで適切な神経ネットワークの構築に関与すると考えられている。 これまでのMRI研究では、統合失調症に対する抗精神病薬による治療において、初期段階で前頭皮質内のミエリンが増加し、その後、慢性期になるとすぐに減少することが示唆されている。慢性期統合失調症患者のミエリン減少は服薬アドヒアランス低下や薬物動態が関与しており、持効性注射製剤により改善する可能性もある。Bartzokis氏らは持効性注射製剤のミエリン形成に及ぼす影響を検討した。Schizophr Res誌オンライン版2012年7月16日号の報告。 初発統合失調症患者をリスペリドン持効性注射剤投与群(RLAI群)9名、リスペリドン経口剤投与群(RisO群)13名に無作為に割り付け、6ヵ月後の健常者(12名)との比較にて評価を行った。主要評価項目は、前頭葉皮質内のミエリンの変化量とした。ミエリン量はMRI画像による回転回復法(IR)、プロトン密度(PD)で評価した。また、服薬アドヒアランスを追跡調査した。 主な結果は以下のとおり。 ・健常者と比較し、RLAI群ではミエリン量は有意に増加したが(p=0.005)、RisO群では有意な変化は認められなかった(p=0.39)。 ・両群における治療効果の差は、有意傾向であった(p=0.093)。 ・RLAI群は服薬アドヒアランスが良好であり、より多いミエリン量の増加が認められた(カイ二乗検定:p<0.05)。 関連医療ニュース ・検証「グルタミン酸仮説」統合失調症の病態メカニズム ・統合失調症の病態にメラトニンが関与?! ・現在開発中の4週間型パリペリドン持続性注射剤の実力は? (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Bartzokis G, et al. Schizophr Res. 2012 Jul 16. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22)