利尿薬を含めた3剤併用によっても降圧目標に至らないケースは、わが国の実地医科における報告でも13%、ハイリスク例を数多く含み、プロトコルが順守される大規模臨床試験においてはその割合は30〜50%にまで上る。わが国で最も多く処方されている3剤併用療法は、ARB、Ca拮抗薬、利尿薬であるが、これら3剤を併用しても目標血圧に到達しない場合の次の処方を選択するエビデンスはほとんど見当たらない。
フランスで行われたオープン無作為化比較試験の結果によると、これら3剤に、4剤目としてアルドステロン拮抗薬、5剤目としてループ利尿薬を追加していく治療計画は、4剤目としてACE阻害薬、5剤目としてβ遮断薬を追加していく治療計画より有意に収縮期血圧を低下させた。この結果はJorunal of Hypertension誌8月号に発表された。
ARB、Ca拮抗薬、利尿薬の3剤併用によってもABPMで評価した昼間血圧が135/85mmHg未満に到達しない治療抵抗性高血圧患者167名が、下記の2つのグループに無作為化割り付けられた。2種の治療は、12週後のABPMで測定した昼間収縮期血圧が主要評価項目として検証された。
順次的ネフロン遮断群 (n=85)
4剤目:アルドステロン拮抗薬(スピロノラクトン)25mg/日を追加
4週目未達の場合、5剤目:ループ利尿薬(フロセミド)20mg/日を追加
8週目未達の場合、フロセミドを40mg/日に増量
10週目未達の場合、6剤目:カリウム保持性利尿薬(アミロライド)5mg/日を追加
順次的レニン・アンジオテンシン(RA)系遮断群 (n=82)
4剤目:ACE阻害薬(ラミプリル)5mg/日を追加
4週目未達の場合、ラミプリルを10mg/日に増量
8週目未達の場合、5剤目:β遮断薬ビソプロロールを5mg/日を追加
10週目未達の場合、ビソプロロール10mg/日に増量
主な結果は下記のとおり。
(1) 順次ネフロン遮断群で、順次RA系遮断群より昼間収縮期血圧を10mmHg低く降圧した
(P<0.001)。
(2) 順次ネフロン遮断群で、順次RA系遮断群より昼間拡張期期血圧を4mmHg低く降圧した
(P=0.014)。
(3) 135/85mmHg未満に到達した割合は、順次ネフロン遮断群で58%、順次RA系遮断群で20%
(P<0.0001)。
(4) 薬剤に関連した投与中止は、順次ネフロン遮断群で7例、順次RA系遮断群で6例。
(ケアネット 藤原 健次)