単施設の観察研究から、毎日のクロルヘキシジン清拭により院内血流感染と多剤耐性微生物の発現を防ぐ可能性が示唆されている。今回、米国のMichael W Climo氏らは、多施設共同集団無作為化非盲検クロスオーバー試験を行い、毎日のクロルヘキシジン含浸手拭いでの清拭により多剤耐性微生物の発現および院内血流感染発症のリスクを有意に減少させたことを報告した。NEJM誌2013年2月7日号に掲載。
本研究では、6病院の9つの集中治療部と骨髄移植部をランダムに2群に割り付け、一方の群では患者を2%クロルヘキシジン含浸手拭いで、もう一方の群では抗微生物薬を含まない手拭いで6ヵ月間清拭し、次の6ヵ月間は手拭いを入れ替え清拭した。多剤耐性微生物の発現率と院内血流感染率は、2つの期間の間でポアソン回帰分析により比較した。
主な結果は以下のとおり。
・試験には7,727例の患者が登録された。
・多剤耐性微生物の発現率は、抗微生物薬なしの手拭いが1,000患者・日当たり6.60例に対し、クロルヘキシジン含浸手拭いが5.10例で(p = 0.03)、クロルヘキシジン含浸手拭いで23%低かった。
・院内血流感染率は、抗微生物薬なしの手拭いが1,000患者・日当たり6.60例に対し、クロルヘキシジン含浸手拭いが4.78例で(p= 0.007)、クロルヘキシジン含浸手拭いで28%低かった。
・重篤な皮膚反応は、いずれの試験期間中にも認められなかった。
(ケアネット 金沢 浩子)