統合失調症治療にベンゾ併用は有用なのか? 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/05/02 統合失調症治療では、一般的にさまざまな薬理作用を有する薬剤を組み合わせた治療が行われている。ドイツ・ミュンヘン工科大学のMarkus Dold氏らは、抗精神病薬にベンゾジアゼピン系薬剤を追加投与した際の有用性をメタ解析により評価した。European neuropsychopharmacology誌オンライン版2013年4月17日号の報告。 対象は、単剤治療を行っていた統合失調症患者および統合失調症様症状を有する患者。ベンゾジアゼピンによる併用療法群とコントロール群を比較した1週間以上の無作為化比較試験(RCT)を、コクラン統合失調症グループの研究データベース(2011年2月まで)とPubmed/Medline(2012年7月まで)を用い検索した。研究の選択とデータ抽出は少なくとも2名の評価者が独立して行った。主要評価項目は治療反応とし、副次的評価項目はPANSSスコア、不安症状、何らかの理由による治療中止、無効例、有害事象とした。ランダム効果モデルを用いてリスク比(RRs)と95%CI、number-needed-to-treat/harm(NNT/H)を算出した。 主な結果は以下のとおり。 ・16件のRCTより、1,045例の対象患者が抽出された。 ・ベンゾジアゼピン併用療法は、治療反応と有意な関係が認められなかった(6RCT、511例、RR:0.97、95%CI:0.77~1.22)。 ・ベンゾジアゼピンによる補助療法は、治療中止率の面からはおおむね良好な忍容性を示したが、めまい(3RCT、190例、RR:2.58、95%CI:1.08~6.15)と傾眠(2RCT、118例、RR:3.30、95%CI:1.04~10.40)が認められた。 ・統合失調症患者に対するベンゾジアゼピン追加投与は、抗精神病薬の有効性向上の根拠となりえなかった。そのため、ベンゾジアゼピンの中長期的な使用は避け、鎮静が必要な急性期患者に対し超短期間の使用にとどめるべきである。 関連医療ニュース ・ベンゾジアゼピン系薬物による認知障害、α1GABAA受容体活性が関与の可能性 ・非定型抗精神病薬治療、忍容性の差を検証 ・ベンゾジアゼピン系薬剤の使用で抗精神病薬多剤併用率が上昇?! (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Dold M, et al. Eur Neuropsychopharmacol. 2013 Apr 17. pii: S0924-977X(13)00072-2. doi: 10.1016/j.euroneuro.2013.03.001. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22)
Dold M, et al. Eur Neuropsychopharmacol. 2013 Apr 17. pii: S0924-977X(13)00072-2. doi: 10.1016/j.euroneuro.2013.03.001. [Epub ahead of print]