小児および思春期うつ病に対し三環系抗うつ薬の有用性は示されるか

提供元:ケアネット

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公開日:2013/07/08

 

 オーストラリア・トーマスウォーカー病院のPhilip Hazell氏らは、小児および思春期うつ病に対する三環系抗うつ薬の有効性を評価することを目的に、Cochrane reviewの最新版について報告を行った。その結果、小児うつ病の治療に三環系抗うつ薬は有用でなく、思春期患者に対してはその使用を支持するエビデンスはわずかであることを報告した。成人のうつ病に三環系抗うつ薬は有効であるが、小児および思春期患者を含む個別の研究においては疑問の余地が残されており、これら患者集団への処方は一般的ではない。研究グループは、小児および思春期のうつ病に対する三環系抗うつ薬の有効性を正確に評価することは、同世代のうつ病における他の薬剤治療の有効性と比較するうえでも有用であるとして本レビューを行った。Cochrane database of systematic reviewsオンライン版2013年6月18日の掲載報告。

 小児および思春期うつ病に対する三環系抗うつ薬の効果をプラセボと比較検討するとともに、これら患者集団で三環系抗うつ薬に対する反応性に相違があるか否かを評価することを目的として、Cochrane reviewを行った。同様の検討は2000年に最初の報告がなされ、以降2002年、2006年、2010年と更新されており、本報告は最新版である。2013年4月12日までのCochrane Depression, Anxiety and Neurosis Review Group's Specialised Register(CCDANCTR)を基に検索を行った。CCDANCTRには、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)(すべての年)、EMBASE(1974~)、MEDLINE(1950~)およびPsycINFO(1967~)などの文献データベース中の無作為化対照試験が含まれる。過去に発表されたレビュー文献および未発表の研究について言及している文献についてクロスチェックを行った。また、米国児童思春期精神医学学会(American Academy of Child and Adolescent Psychiatry)の学会誌において関連する抄録にもあたり、1978~1999年の同学会誌を手作業で検索した。そして、これらの中から6~18歳のうつ病患者を対象に、経口三環系抗うつ薬とプラセボを比較検討している無作為化対照試験を選択した。

 主な結果は以下のとおり。

・14試験の590例を解析対象とした。主要アウトカム(プラセボと比較した有効性)において全般的に相違はみられなかった(リスク比[RR]:1.07、95%信頼区間[CI]:0.91~1.26、9試験、454例)。
・うつ症状のわずかな軽減が認められたが(標準平均差[SMD]:-0.32、95%CI:-0.59~-0.04、13試験、533例)、エビデンスの質は低かった。
・サブグループ解析では、うつ症状の若干の軽減が思春期患者で認められ(SMD:-0.45、95%CI:-0.83~-0.007)、小児においてはごくわずかな変化にとどまった(SMD:0.15、95%CI:-0.34~0.64)。
・三環系抗うつ薬群では、めまい(RR:2.76、95%CI:1.73~4.43、5試験、324例)、起立性低血圧(RR:4.86、95%CI:1.69~13.97、5試験、324例)、振戦(RR:5.43、95%CI:1.64~17.98、4試験、308例)、口渇(RR:3.35、95%CI:1.98~5.64、5試験、324例)がプラセボ群に比べ高頻度に認められたが、その他の有害事象の発現に差はみられなかった。
・信頼区間の幅が広かったことから、有害事象に対するエビデンスの質は非常に低いと考えられた。
・年齢、治療方法、三環系抗うつ薬の種類、アウトカム指標などに関して試験間で不均質性がみられた。
・うつ症状の軽減に対し統計学的な不均質性が確認されたが、寛解または有効率については確認されなかった。
・このように、統合データの解析結果については慎重に評価すべきである。
・これら試験においては、バイアスのリスク、高い脱落率、評価手段、アウトカムの臨床的意義など、各試験で異なることの多いこれらについて情報が限られており、いずれの試験もバイアスのリスクが低いとは判断しなかった。
・以上より、三環系抗うつ薬は小児うつ病の治療に有用ではなく、思春期患者に対してはその使用を支持するわずかなエビデンスがあると言える。

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(ケアネット)