国際医学雑誌編集者委員会(ICMJE)では2005年より、研究結果掲載の条件として、試験開始以前の登録を義務付けているが、主な3分野の各10雑誌に発表された無作為化対照試験について調べたところ、適切な登録をしていたのは半数以下に過ぎなかった。その中で、事前に設定したアウトカムと、実際に発表したアウトカムに食い違いがあった研究は、3割強に上っていたという。フランスParis Diderot大学のSylvain Mathieu氏らが明らかにしたもので、JAMA誌2009年9月2日号で発表した。
登録なし28%、事後登録14%
Mathieu氏らは、心臓病、リウマチ病、胃腸病の3分野の、それぞれ引用頻度が高く影響の大きい10雑誌に発表された無作為化対照試験(RCT)、あわせて323件について調査を行った。
そのうち、試験終了前に登録を済ませ、また主要アウトカムも明確だったのは、45.5%にあたる147件に留まった。
全く登録をしていなかったのは89件(27.6%)、また試験終了後に登録したのは45件(13.9%)だった。更に、登録時に主要アウトカムについての記述が欠けていたり不明確だったのは39件(12.1%)、試験終了後に登録し、主要アウトカムが欠けていたり不明確だったのは3件(0.9%)だった。
適切登録試験のうち、31%が登録アウトカムと発表アウトカムが不一致
適切な登録を行った147試験のうち、登録したアウトカムと発表したアウトカムが一致していなかったのは、31%の46件にも上った。その原因を23試験について調べてみると、事前に設定したアウトカムではなく、統計的有意性の見られたアウトカムを発表している場合が19件(82.6%)だった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)