2型糖尿病患者で経口糖尿病薬による血糖コントロールが不十分になると、インスリンが追加されることは一般的である。しかし、どのようなインスリン療法が適切なのか、これまで大規模な調査は行われておらずエビデンスに限界があった。
そこでオックスフォード大学(英国)チャーチル病院糖尿病センターのRury R. Holman氏ら4T(Treating to Target in Type 2 Diabetes)研究グループが、多施設共同非盲検対照試験を実施。NEJM誌オンライン版9月21日付、本誌10月25日号で結果が掲載された。
「二相性」「食前」「持効型」を比較
対照患者は、メトホルミンおよびSU剤の最大許容量投与ではグリコヘモグロビン値が至適とならない(7.0~10.0%)708例で、「二相性インスリン(1日2回投与)」「食前インスリン(1日3回投与)」「持効型インスリン(インスリンデテミル:1日1回投与;必要に応じて2回投与)」のいずれかに無作為に割り付けられた。
転帰評価項目は1年時点での平均グリコヘモグロビン値、およびグリコヘモグロビン値が6.5%以下になった患者の割合、低血糖発生率、体重増加。
その結果、平均グリコヘモグロビン値は、「二相性投与群」と「食前投与群」ではそれぞれ7.3%、7.2%と同等だったが(P=0.08)、「持効型投与群」は7.6%で、より高かった(両群との比較に対するP<0.001)。グリコヘモグロビン値が6.5%以下になった患者の割合は、「二相性投与群」17.0%、「食前投与群」23.9%、「持効型投与群」8.1%。低血糖イベントの発生回数(/年/患者1例当たり)は「二相性投与群」5.7件、「食前投与群」12.0件、「持効型投与群」2.3件。体重増加は「二相性投与群」4.7kg、「食前投与群」5.7kg、「持効型投与群」1.9kg。有害事象については3群間で発生率に相違はなかった。
単一ではなく複数タイプを組み合わせることが必要か?
Holman氏らは、「1つのインスリンアナログ製剤の追加投与で、グリコヘモグロビン値が1年後の時点で6.5%以下にコントロールできた患者は少数だった。二相性または食前インスリンアパルト製剤の追加は、持効型インスリン製剤の追加と比べてグリコヘモグロビン値を低下するが、低血糖や体重増加のリスク増加と関連していた」と述べ、「今回報告した4T研究の第1相試験結果は、多くの患者が血糖コントロールを良好に保つためには複数タイプのインスリンを必要とすることを示唆したと言える。最終報告までにインスリンタイプの組み合わせについて調査するつもりだ」とまとめた。
(武藤まき:医療ライター)