心房細動患者へのdabigatran vs.ワルファリン:RE-LY試験

提供元:ケアネット

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公開日:2009/10/07

 



脳卒中および死亡リスクを増大する心房細動に対し、ワルファリン(商品名:ワーファリンなど)は、脳卒中リスクを低下する効果がある。しかし出血リスクを増すため、実際に使用されるケースは少なく、中断例も多い。そこで、心房細動患者を対象とした試験で静脈血栓塞栓症予防効果の評価が得られている、新規経口直接トロンビン阻害薬dabigatranと、ワルファリンとを比較する第3相臨床試験(RE-LY試験)が、カナダ・マクマスター大学のStuart J. Connolly氏らによって行われた。試験は2種の用量(110mgまたは150mgを1日2回)について検討され、結果はNEJM誌2009年9月17日号(オンライン版2009年8月30日号)に掲載された。

dabigatran 110mg投与群、同150mg投与群、ワルファリン投与群で比較




RE-LY(Randomized Evaluation of Long-Term Anticoagulation Therapy)試験は非劣性試験で、心房細動患者(6ヵ月以内に心電図で確定診断)で脳卒中リスクがある(脳卒中かTIA歴あり、LVEF<40%、NYHA分類≧II、6ヵ月以内に心不全、75歳以上など)18,113例を対象に行われた。患者は、日本を含む44ヵ国951医療機関から集められた。

被験者は次の3群に無作為化された。盲検下で、dabigatranの1日2回110mg投与する群と、同1日2回150mg投与する群。非盲検下で、INR2~3を目標に用量調整(1~5mg錠)されたワルファリン投与群。

主要転帰は、脳卒中または全身性塞栓症とされた。

110mg群は、脳卒中リスク低下がワルファリン群と同等、出血リスクは低い




追跡期間中央値は2.0年。

主要転帰発生は、ワルファリン群1.69%/年だったのに対し、dabigatran 110mg投与群は1.53%/年で、相対リスクは0.91(非劣性P<0.001)だった。同150mg投与群は1.11%/年で、相対リスクは0.66(優越性P<0.001)とさらに低下した。

一方で、重大出血の発生について、ワルファリン群3.36%/年だったのに対し、dabigatran 110mg投与群は2.71%/年(P = 0.003)だったが、同150mg投与群は3.11%/年(P = 0.31)だった。

脳出血の発生率は、ワルファリン群0.38%/年だったのに対し、dabigatran 110mg投与群は0.12%/年(P<0.001)で、同150mg投与群では0.10%/年(P<0.001)。

死亡率は、ワルファリン群4.13%/年だったのに対し、dabigatran 110mg投与群は3.75%/年(P = 0.13)、同150mg投与群で3.64%/年(P = 0.051)だった。

以上のように、dabigatran 110mg投与群では、脳卒中と全身性塞栓症の発生はワルファリンと同等だったが、重大出血の低下が大きかった。一方、dabigatran 150mg投与群では、同発生はワルファリンより低下したが、重大出血の発生はワルファリンと同等だった。

(医療ライター:武藤まき)