医学生によるネット上の不適切表現、規制方針を設けている医学部は4割弱

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2009/10/13

 



米国ジョージワシントン大学医学部のKatherine C. Chretien氏らの調査で、インターネット上のブログやソーシャルネットワーキングサイトなどを通じて情報を発信する医学生に対し、サイト上での不適切表現の使用を規制する方針を設けている学校は、4割に満たないとの実態が明らかになった。JAMA誌2009年9月23/30日号掲載より。

回答校の6割が、ネット上での学生による不適切表現があることを報告




Chretien氏らは、米国の大学医学部130校に対し、医学生のネット上の不適切表現に関する、匿名の調査を行った。回答は、78校(60%)から得られた。

回答校のうち60%(47校)が、医学生がネット上で不適切な表現をしている事実を報告した。具体的には、患者のプライバシーを侵害するものが13%(有効回答46校中6校)、冒涜(ぼうとく)的な言葉の使用が52%(同42校中22校)、差別的表現が48%(同40校中19校)だった。また、中毒描写があるとの回答が39%(同44校中17校)、性的表現や写真などの掲載あるが38%(同42校中16校)だった。

非公式な注意が30校、停学1校、退学3校




不適切表現を報告した学校で、当該学生に対する処罰について回答のあった45校のうち、30校(67%)が非公式な注意を与えたと回答、12校(27%)が公式な面談を行い、1校が学生を停学処分、3校が退学処分にしたと回答した。

医学生によるネット上表現について、学校として規制方針を設けていたのは、38%(同73校中28校)だった。規制を設けていない学校のうち、11%(同46校中5校)が新たな規制を作成中だと回答している。

学生によるネット上の不適切表現を報告した学校ほど、報告のなかった学校と比べて、規制を設けている割合が高く(51%対18%、p=0.006)、規制対象とすべき認識があり(91%対63%、P=0.003)、またその認識レベルが高い(P=0.02)ことがうかがえた。

Chretien氏は「多くの学校が、専門家ではない学生による不適切な投稿があることを憂慮しているようだが、適切な対策は打てていない」と述べ、学生、研修医、大学医学部が、Web2.0におけるメディカル・プロフェッショナリズムについて議論すべきだとまとめている。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)