精神疾患症状としての興奮症状や暴力的行動に対し、速やかな鎮静を図る手段として、筋注olanzapine(オランザピンは筋注剤は日本未承認)と筋注ハロペリドール+プロメタジンとを比較する無作為化臨床試験の結果が報告された。インドVelloreにあるキリスト教医科大学精神医学部Nirmal S Raveendran氏らによる。BMJ誌オンライン版10月22日付け、本誌10月27日号で掲載。
筋注olanzapineと筋注ハロペリドール+プロメタジンを比較
本試験は、南インドVelloreにある総合病院精神科部門の救急サービスを基点に行われた。激しい興奮状態あるいは暴力的行動を呈する成人患者300例を無作為に、筋注olanzapine投与群150例と筋注ハロペリドール+プロメタジン投与群150例に割り付け、同剤投与による介入から治療を開始した。
主要評価項目は、15分後、240分後時点で、落ち着きを取り戻し眠っている患者の比率。副次評価項目は、15、30、60、120、240分時点での、「落ち着いている」「眠っている」「抑制されている」「逃走」「臨床的に好転」した患者の各比率。さらに4時間を過ぎた時点でのさらなる医療行為介入と副作用の状況、2週間にわたる経口薬のコンプライアンスと副作用の状況も評価された。追跡調査されたデータは298例(99%)。
ハロペリドール+プロメタジン群のほうが追加介入が少ない
15分後「落ち着きを取り戻し眠っている」患者の比率は、olanzapine群 131/150(87%)、ハロペリドール+プロメタジン群136/150(91%)で同程度だった(相対リスク比0.96、95%信頼区間:0.34-1.47)。240分後もそれぞれ、144/150(96%)、145/150(97%)(同0.99、0.95-1.03)で同程度。
しかし、4時間を過ぎた時点で追加投与を必要とする患者が、olanzapine群65/150(43%)で、ハロペリドール+プロメタジン群31/150(21%)よりも多かった(同2.07、1.43-2.97)。副作用は、いずれの治療群でもまれだった。
これらからRaveendran氏らは、「いずれの筋注も興奮状態あるいは暴力的な精神病患者を鎮静するのに効果的だったが、ハロペリドール+プロメタジン群のほうが追加介入の割合が低かった。多忙かつ無秩序な状況では併用群を選んだほうがよいということだ」とまとめている。