急速にライフスタイルが変化した中国では、糖尿病の蔓延が懸念されている。中国・北京にある中日友好病院のWenying Yang氏らは、糖尿病有病率を推定するため、2007年6月~2008年5月に、全国調査を行った。結果、糖尿病有病率は9.7%・9,240万人、糖尿病前症有病率は15.5%・1億4820万人に上ることが明らかになった。NEJM誌2010年3月25日号掲載より。
糖尿病前症有病率は15.5%・1億4,820万人
調査は、中国14の州・自治区から、20歳以上の46,239人を抽出したサンプル調査の手法で行われた。
被験者は、前夜絶食後、経口ブドウ糖負荷試験を受け、空腹時血糖値、2時間後血糖値測定によって、糖尿病あるいは糖尿病前症(すなわち空腹時血糖値異常または耐糖能異常)を診断された。
以前に糖尿病と診断されたことがあるかどうかは、自己報告に基づいて確認した。
結果、トータルの糖尿病有病率(以前に糖尿病と診断された人も含む)は9.7%(男性 10.6%、女性8.8%)、糖尿病前症15.5%(男性16.1%、女性14.9%)だった。これは、糖尿病成人は推定9,240万人(男性5,020万人、女性4,220万人)、糖尿病前症成人は推定1億4,820万人(男性7,610万人、女性7,210万人)に上ることを示す。
年齢、体重に比例して有病率増大、地方よりも都市部で
糖尿病有病率は、年齢とともに増加していること(「20~39歳」3.2%、「40~59歳」11.5%、「60歳以上」20.4%)、体重の多い人ほど有病率が高いこと(BMIが「18.5未満」4.5%、「18.5~24.9」7.6%、「25.0~29.9」12.8%、「30.0以上」18.5%)が明らかになった。
また、地方よりも都市部の住民の方が高く(11.4%対8.2%)、耐糖能異常(糖尿病前症)の有病率の方が空腹時血糖値異常(糖尿病)より高かった(男性11.0%対3.2%、女性10.9%対2.2%)。
以上からYang氏は、「中国ではすでに糖尿病は重大な国民的な健康問題である。糖尿病の予防および治療戦略が必要だ」と結論している。
(医療ライター:武藤まき)