4年に一度のサッカーの祭典W杯が間もなく始まる。そのサッカー選手でも頻度が高い、足首捻挫の治療について、受傷後は安静、アイシング、加圧、固定をするよりも、すぐに運動療法を始めた方が、短期間で機能が快復することが報告された。イギリス・北アイルランドのUlster大学健康科学校健康・リハビリテーション科学研究所のChris M Bleakley氏らが、無作為化試験を行い明らかにした。BMJ誌2010年5月22日号(オンライン版2010年5月10日号)掲載より。
101例の急性足首捻挫患者を無作為化し16週間追跡
Bleakley氏らは、2007年7月~2008年8月に大学病院の救急外来もしくはスポーツ外傷クリニックを受診した、急性(受傷後7日未満)足首関節捻挫グレード1、2の101例の患者を対象に、アウトカムの評価者盲検無作為化試験を行った。
被験者は、すぐに運動療法の介入を受ける群(運動群、50例、平均25.3歳)か、標準的ケア(安静、アイシング、加圧、固定)の介入を受ける群(標準群、51例、26.6歳)に無作為に割り付けられた。
主要評価項目は、下肢機能スケールを用いた足首関節機能の自覚状態。副次評価項目は、基線および傷害後1、2、3、4週時点の、安静時と運動時の疼痛、腫脹の程度、身体活動度だった。足首関節機能、再受傷率の評価は、16週時点で行われた。
治療効果は一貫して運動群に
治療効果は一貫して、運動群の方が認められた(P=0.0077)。1週時点での両群間の治療効果の差は5.28(98.75%信頼区間:0.31~10.26、P=0.008)、2週時点では4.92(同:0.27~9.57、P=0.0083)だった。
活動レベルは、いずれの測定時点でも運動群で有意に高かった。歩行時間は運動群1.6時間に対し、標準群は1.2時間、歩数は同7,886歩対5,621歩、軽い運動時間は76分対53分。
安静時・運動時疼痛および腫脹について、群間差は認められなかった。再受傷率は4%だった(両群とも2例)。