死亡率が最も低いのはBMI値20~25未満:白人成人146万人の解析

提供元:ケアネット

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公開日:2010/12/15

 



これまで、BMI値30.0以上の肥満と定義される人では、心血管疾患や脳卒中、その他特異的がんによる死亡率が増大することが立証されていたが、全死因死亡率との関連については明らかにされていなかった。そこで米国立がん研究所 疫学・遺伝学部門のAmy Berrington de Gonzalez氏ら研究グループは、19の前向き試験に参加した白人成人146万人のデータを集め解析した。NEJM誌2010年12月2日号掲載より。

白人成人146万人のデータを解析




解析対象となった19の試験は、米国立がん研究所Cohort Consortiumに登録された前向き試験で、1970年以後を基線とし、追跡期間5年以上、各試験の被験者死亡に1,000例以上の非ヒスパニック系白人を含むものだった。基線での、身長、体重、喫煙データがあり、既往歴(メラノーマ以外のがん、心疾患)、飲酒、教育レベル、婚姻状況、身体活動に関する情報があった。

解析された被験者は、19~84歳(中央値58歳)の白人成人146万人分のデータで、年齢、参加していた研究、身体活動、飲酒、教育、婚姻状況で補正後、Cox回帰分析を用いて、BMI値と全死因死亡率との関連についてのハザード比と95%信頼区間を推定した。

BMI値と全死因死亡率はJ字型曲線の関連




被験者の基線におけるBMI中央値は、26.2だった。追跡期間中央値10年(5~28年)の間に、16万87例が死亡していた。

非喫煙者の健常者についてみたところ、BMI値と全死因死亡率とにはJ字型曲線の関連が認められた。

BMI値22.5~24.9階層群を基準とした、女性の、BMI値とのハザード比(95%信頼区間)は以下であった。
 
・15.0~18.4階層群 1.47(1.33~1.62)
・18.5~19.9階層群 1.14(1.07~1.22)
・20.0~22.4階層群 1.00(0.96~1.04)
・25.0~29.9階層群 1.13(1.09~1.17)
・30.0~34.9階層群 1.44(1.38~1.50)
・35.0~39.9階層群 1.88(1.77~2.00)
・40.0~49.9階層群 2.51(2.30~2.73)

男性のハザード比も女性と同等だった。また20.0未満のハザード比は、追跡期間が長期となるにつれ小さくなっていた。

Gonzalez氏は、「白人成人では、過体重と肥満、そしておそらく低体重も、全死因死亡率の上昇と関連する。概して全死因死亡率は、BMI値20.0~24.9階層群で最も低い」と結論している。なお、米国では成人の3分の2が、その他先進諸国では半数以上が、過体重もしくは肥満であるという。

(武藤まき:医療ライター)