新開発の着用可能な血液透析機の有用性を確認

提供元:ケアネット

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公開日:2007/12/27

 

 透析あるいは腎移植を要する慢性腎不全患者は世界で約130万人に上る。これらの患者は、より頻回の血液透析を行えば生存率およびQOLの双方が改善される可能性があるが、イギリスにはそれを可能にするcapacityがほとんどないという。そこで、Andrew Davenport氏(ロンドン大学、Royal Free and University College Hospital Medical School)らは、新たな透析手段として着用して使用する透析機を開発、その安全性および有効性を評価するパイロット試験を実施した。Lancet誌12月15日号掲載の報告。

標準的透析治療を受けている末期腎不全患者が着用透析機を装着

 対象は、週に3回の標準的な血液透析を受けている末期腎不全患者8例(男性5例、女性3例、平均年齢51.7歳、平均透析期間17.9年)。これらの患者が新たに開発された着用透析機(重量約5kg)を1日に4~8時間装着し、標準の透析法と同様に抗凝固薬として未分画ヘパリンを投与された。

 心血管系への重大な影響や血清電解質、酸塩基のバランスの変化は認めなかった。いずれの症例でも臨床的に有意な溶血のエビデンスは得られなかった。

より長時間の装着が可能となるよう改良を重ねるべき

 平均血流量は58.6mL/分、透析液流量は47.1mL/分であった。また、平均血漿尿素クリアランスは22.7mL/分、クレアチニンクリアランスは20.7mL/分であった。これらのデータは従来の透析法に比べ低値であるが、透析の時間および期間を延長できれば従来法よりも改善されることが示唆された。

 ヘパリン用量が低下した際に2例に血管穿刺部位の血液凝固がみられたが、2例とも部分トロンボプラスチン時間は正常域へと回復した。1例で穿刺針の脱落がみられたが安全装置により失血は防止され、穿刺針を取り換えて治療が継続された。

 これらの結果により、Davenport氏は「新開発の着用して使用する透析機器は安全性および有効性ともに有望な結果が得られた」と結論している。また、「これらの知見をより多くの症例で検証する試験が必要である。今後は、有効性を高めるために、より長時間の装着が可能となるよう改良を重ねれば、末期腎不全患者の透析回数をふやす実用的な手段となる可能性がある」と指摘している。

(医学ライター 菅野 守)