60歳以上帯状疱疹、ワクチン接種で発症リスクは55%低減

提供元:ケアネット

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公開日:2011/01/25

 



60歳以上の高齢者への帯状疱疹ワクチンの接種で、同発症リスクは55%低減することが明らかになった。米国医療保険医学グループSouthern California Kaiser PermanenteのHung Fu Tseng氏らが、7万5,000人超の帯状疱疹ワクチン接種集団と、22万人超の非接種集団について行った後ろ向きコホート試験の結果明らかにしたもので、JAMA誌2011年1月12日号で発表した。帯状疱疹ワクチンの有効性について、日常診療現場レベルでの追跡試験はこれまでほとんど行われていないという。

地域在住の30万人超について、1.5~1.7年追跡




研究グループは、地域在住の免疫適格性60歳以上で、医療保険Kaiser Permanente Southern Californiaプランの加入者のうち、2007年1月1日~2009年12月31日にかけて帯状疱疹ワクチンの摂取を受けた7万5,761人と、その対照群として、同摂取を受けなかった年齢をマッチングした22万7,283人について追跡した。主要評価項目は帯状疱疹の発症率。

被験者の平均年齢は、69.6歳だった。追跡期間の平均値は、ワクチン群が1.72年、対照群が1.56年であった。

ワクチン接種群の帯状疱疹リスクは0.45倍、帯状疱疹による入院リスクは0.35倍に




試験期間中、帯状疱疹を発症したのは5,434人だった。そのうちワクチン群は828人(延べ追跡期間13万415人・年)、対照群は4,606人(延べ追跡期間35万5,659人・年)であった。

それぞれの発症率について比較すると、対照群13.0/1,000人・年(95%信頼区間:12.6~13.3)に対し、ワクチン群は6.4人/1000人・年(同:5.9~6.8)と、ワクチン群の発症リスクは半分以下になっていた(補正後ハザード比:0.45、同:0.42~0.48)。

ワクチン接種による発症リスクの低減は、試験対象のすべての年齢層でみられ、また糖尿病などの慢性疾患を持つ人でも同様に認められた。

ワクチン接種群の対照群に対する、眼部帯状疱疹発症に関するハザード比は0.37(同:0.23~0.61)、帯状疱疹による入院に関するハザード比は0.35(同:0.24~0.51)と摂取群で低かった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)