慢性B型肝炎(HBV)の新しい治療薬であるtelbivudineに関して、欧州で行われた第Ⅲ相試験Globe試験からの報告がNEJM誌2007年12月20日号に掲載された。本試験では、既存薬ラミブジンとの安全性および有効性の比較が行われている。
慢性B型肝炎1,370例を対象に二重盲検
試験は二重盲検法で、慢性B型肝炎患者1,370例を、telbivudine 1日1回600mg投与群とラミブジン1日1回100mg投与群にランダムに割り付け行われた。
有効性を評価する主要エンドポイントは、「HBe抗原の消失またはアラニンアミノトランスフェラーゼの正常化とともに血清HBV DNA1量の5 log10コピー/mLへの低下」を治療奏効とし、ラミブジンに対するtelbivudineの非劣性を評価した。
副次評価項目は、組織学的奏効、血清HBV DNA量、HBe抗原の反応。
治療1年時点の治療・組織学的奏効率はラミブジン治療よりも有意に高値
52週時、HBe抗原陽性患者で、telbivudine投与を受けている患者群はラミブジン投与群よりも、治療奏効(75.3%対67.0%、P=0.005)、組織学的奏効(64.7%対56.3%、P=0.01)ともに有意に高いことが確認された。このエンドポイントにおいてはHBe抗原陰性患者についても、telbivudineがラミブジンより劣っていることはなかった。
またHBe抗原陽性・陰性の両患者群とも、ベースライン時からのHBV DNAコピー数の減少、PCR法では検出できないレベルまでHBV DNA量が低下した患者の割合、本剤耐性の発現に関して、telbivudineはラミブジンより優れていた。
クレアチンキナーゼ上昇は、telbivudine投与でより高頻度に共通してみられた。しかし、 アラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの上昇はラミブジン投与群でより共通して高頻度にみられた。
以上から、「HBe抗原陽性の慢性B型肝炎患者に対する、1年時点の治療・組織学的奏効率は、ラミブジンで治療される患者よりもtelbivudineで治療された患者のほうが有意に高値だった。またHBe抗原陰性および陽性両患者群において、telbivudineはラミブジンよりもHBV DNA抑制がより強く、耐性は低かった」と結論づけている。
(武藤まき:医療ライター)