葉酸サプリは結腸直腸腺腫予防の効果なく、むしろリスク増大について調査が必要

提供元:ケアネット

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公開日:2007/06/19

 

結腸直腸腺腫予防のための葉酸サプリ摂取の有効性と安全性を評価するため実施した無作為化臨床試験の結果が、JAMA誌6月6日号で発表された。葉酸サプリメントが大腸における抗腫瘍性効果を発揮する可能性が各種実験や疫学的調査によって示唆されているが、米国ダートマス・ヒチコック医療センターのBernard F. Cole氏らのポリープ予防研究グループは、1mg/日の葉酸を摂取しても結腸直腸腺腫のリスクは減少せず、反対にリスク増大の可能性についてのさらなる調査が必要だと報告した。

葉酸1mg/日とアスピリン低・高用量を無作為二重盲検法で


1994年7月から2004年10月にかけて、ダートマス・ヒチコック医療センターなど米国とカナダの9施設での、フェイズ3の無作為化二重盲検プラセボ対照試験。結腸直腸腺腫の病歴はあるが大腸癌の既往のない男女1,021人が参加した。

参加者は1mg/日の葉酸摂取群(n=516)とプラセボ群(n=505)に割り当てられ、さらに、低用量で結腸直腸腺腫の予防効果が報告されているアスピリン摂取群とプラセボ群に割り当てられ、2度にわたる結腸鏡検査(最初は3年後、2回目は3年または5年後)で評価が行われた。主要評価項目は1つ以上の結腸直腸腺腫の発生で、第二評価項目は1 cm以上または浸潤性の癌と多発性腺腫の発生とされた。

効果は見られず、むしろ直腸結腸組織の異常増殖に関与の疑い


3年の時点で987人(96.7%)が結腸鏡検査の追跡調査を受け、1つ以上の結腸直腸腺腫の発生率は葉酸摂取群(n=221)が44.1%、プラセボ群(n=206)が42.4%。進行病変の発生率は、葉酸摂取群(n=57)が11.4%、プラセボ群(n=42)が8.6%だった。

2回目は607人(59.5%)が追跡調査を受け、1つ以上の結腸直腸腺腫の発生率は葉酸摂取群(n=127)が41.9%、プラセボ群(n=113)が37.2%だった。さらに、進行病変の発生率は葉酸摂取群(n=35)が11.6%、プラセボ群(n=21)が6.9%であり、葉酸摂取群はさらに3つ以上の腺腫を伴う高い危険性、あるいは非結腸直腸癌の発生に関与していた。

研究グループはこの結果から、葉酸サプリの摂取は結腸直腸腺腫の予防に効果がなく、むしろリスクを増大させる可能性について、さらなる調査が必要だと報告した。

(朝田哲明:医療ライター)