再発性または治療抵抗性の標準第一療法治療後の非小細胞肺がん(NSCLC)に対する、ベバシズマブ(商品名:アバスチン)+エルロチニブ(同:タルセバ)の併用レジメンの有効性と安全性について検討された第3相二重盲検プラセボ対照試験「BeTa」の結果が、Lancet誌2011年5月28日号に掲載された。試験は、米国テキサス大学腫瘍学部門のRoy S Herbst氏らにより行われた。ベバシズマブとエルロチニブは腫瘍増殖ターゲット、細胞毒性効果がそれぞれ異なる。第1相、第2相試験で同併用レジメンの安全性および細胞活性が認められたことを踏まえて行われた試験であった。
12ヵ国177施設からの636例を対象に
BeTa試験は2005年6月~2008年4月に、12ヵ国177施設から登録された636例を対象に行われた。コンピュータシステムにて無作為に、エルロチニブ+ベバシズマブ群(ベバシズマブ群:319例)かエルロチニブ+プラセボ群(対照群:317例)に割り付けられた。割り付け情報は被験者、試験スタッフ、研究者には知らされなかった。
主要エンドポイントは、全被験者の全生存期間とし、副次エンドポイントには、無病生存期間、客観的奏効率および期間、安全性(有害事象の発生率)、有効性エンドポイントとの評価、生物マーカー解析が含まれた。
全生存期間中央値、ベバシズマブ群9.3ヵ月、対照群9.2ヵ月
結果、全生存期間中央値は、ベバシズマブ群9.3ヵ月(IQR:4.1~21.6)、対照群9.2ヵ月(同:3.8~20.2)と、両群間に差は認められなかった(ハザード比:0.97、95%信頼区間:0.80~1.18、p=0.7583)。
無病生存期間は、ベバシズマブ群3.4ヵ月(同:1.4~8.4)、対照群1.7ヵ月(同:1.3~4.1)と、ベバシズマブ群のほうが長期であることが示された(ハザード比:0.62、95%信頼区間:0.52~0.75)。また、ベバシズマブとエルロチニブには臨床作用があることも示されたが、これら副次エンドポイントの結果は、有意差があると評価することはできなかった。本試験では、主要エンドポイントが副次エンドポイントよりも先に有意であることが示されていなければならないとされていたことによる。
重篤な有害事象は、ベバシズマブ群で42%(安全性に関するデータが利用できた313例中130例)、対照群は36%(114/317例)報告された。グレード5の事象発生は、ベバシズマブ群では、動脈血栓塞栓症イベント2例などを含む20件(6%)が、対照群では14件(4%)が報告された。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)