医療訴訟件数、外来と入院でほぼ同等、過去5年で外来が増加:米国

提供元:ケアネット

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公開日:2011/06/28

 



米国で、医療訴訟(賠償金支払済み分)について外来と入院で比較したところ、2009年における件数は、ほぼ同等であることが明らかにされた。米国・コーネル大学医学部(Weill Cornell Medical College)公衆衛生部門のTara F. Bishop氏らが、2005~2009年のNational Practitioner Data Bankの記録を基に調べ明らかにしたもので、JAMA誌2011年6月15日号で発表した。外来での医療訴訟の実態を分析することで、外来で重大イベントがどれぐらい、どの程度発生しているかを知り得るとして本研究を行ったという。

2005年から2009年で、賠償金支払済み外来訴訟の件数が41.7%から43.1%へ




研究グループは、入院および外来でのそれぞれの医療訴訟(賠償金支払済み)の件数、割合、種類ついて報告し比較を行った。後ろ向き解析にて、入院と外来での医療訴訟の傾向、特性、要因を、賠償金額と関連させながら評価した。

結果、2009年に医師からの賠償金支払いが確認された医療訴訟件数は、全体で1万739件だった。そのうち、入院に関するものが4,910件(47.6%、95%信頼区間:46.6~48.5)、外来に関するものが4,448件(43.1%、同:42.1~44.0)、入院・外来両方へ行われたものが966件(9.4%、同:8.8~9.9)だった。

賠償金が支払われた医療訴訟のうち、外来医療の占める割合は、2005年の41.7%から2009年の43.1%へと、わずかだが有意な増加傾向がみられた(p<0.001)。

訴訟理由の筆頭、外来は診断ミス、入院は手術ミス




訴訟の理由についてみたところ、外来で最も多かったのは診断に関するもので45.9%だったのに対し、入院では手術に関するものが最も多く34.1%だった。外来・入院ともに、医療ミスによるアウトカムで最も多かったのは、重篤な損傷と死亡だった。

賠償金の平均支払い額は、入院36万2,965ドル(95%信頼区間:34万8,192~37万7,738ドル)に対し、外来が29万111ドル(同:27万8,289~30万1,934ドル)で、入院が有意に高額だった(p<0.001)。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)