夭折するロシア男性、その原因とは?

提供元:ケアネット

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公開日:2007/06/28

 

先進工業国の中でロシアは例外的に平均寿命が短い。2004年のデータでは男性59歳、女性72歳、男女とも働き盛りの死亡率の高さが際立つ。25~65歳のロシア男性の死亡率はじつに55%にも及ぶが、イングランド/ウェールズの15%と比べるといかに高い数値かがわかる。また、死亡率には大きな変動が見られ、特に男性で変動が激しいが、就労女性にも同様の傾向が見られる。そして、これらの問題にはアルコールの関与が示唆されている。

 London School of Hygiene and Tropical MedicineのDavid A. Leon氏は、ロシア男性の若死に傾向とアルコールの関連を調査、その結果を6月16日付のLancet誌で報告している。

典型的なロシアの都市において25~54歳の死亡男性の飲酒状況を調査


Leon氏らは、イジェフスク市(ロシア連邦ウドムルト共和国の首都、2002年時の人口約63万2,000人)に居住し、2003年10月20日~2005年10月3日の間に死亡した25~54歳の男性の飲酒状況などについて調査した。対照群は市民の中から無作為に抽出した。

死亡男性の生活環境を知る情報提供者に、死亡後6~8週以内にインタビューを行った。死亡男性1,468名、対照群1,496名について、飲酒状況(酒の種類、頻度、量)、工業用エタノールを原料とする非飲用アルコールの飲用頻度、学歴、喫煙歴に関する情報を収集した。

就労年齢ロシア男性の死因の約半数が有害な飲酒と密接に関連


対照群のうち問題のある飲酒者あるいは非飲用アルコールの飲用者の割合は13%であったのに対し、死亡男性では51%にも達していた。禁酒者や通常飲酒者と比較して、これらの死亡男性の死亡オッズ比は6.0(95%信頼区間:5.0-7.3)と高値であり、過去に非飲用アルコールの飲用歴がある者の年齢補正死亡オッズ比は9.2(95%信頼区間:7.2-11.7)にも達した。さらに、死因の43%が有害な飲酒(問題のある飲酒もしくは非飲用アルコールの飲用)に起因していた。

これらの結果は、典型的なロシアの都市に居住する就労年齢男性の死因の約半数が有害な飲酒で説明可能なことを示唆する。Leon氏は、「ソビエト連邦崩壊後の1990年初頭のロシアに見られる急激な死亡率の変動は、非飲用アルコールなどの有害物質の飲用と関連するとの説があるが、今回の解析結果はこの主張を間接的に支持するもの」としている。

(菅野 守:医学ライター)