放出調節性プレドニゾンの就寝前服用が、関節リウマチの朝のこわばりを改善

提供元:ケアネット

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公開日:2008/01/31

 

関節リウマチ患者はサーカディアンリズムに変調をきたしている。新たに開発された放出調節性の薬剤送達法は、投与されたグルココルチコイドの放出を内因性コルチゾールおよび症状発現のサーカディアンリズムに適合させることで、関節リウマチに対するグルココルチコイド治療の効果を改善するという。Frank Buttgereit氏(ドイツ、Chariteベルリン医科大学)らは、新規の放出調節性プレドニゾンの効果および安全性の評価を行い、従来の即放性プレドニゾンに比べ関節の朝のこわばり(morning stiffness)の臨床的低減が得られたことを、Lancet誌2008年1月19日号で報告した。

放出調節性プレドニゾン就寝前服用と即放性プレドニゾン朝服用を比較




CAPRA-1(Circadian Administration of Prednisone in Rheumatoid Arthritis)試験は、関節リウマチに対する新規の放出調節性プレドニゾン(錠剤)を標準的な即放性プレドニゾン(錠剤)と比較する二重盲検多施設共同無作為化試験。患者は、即放性プレドニゾンは朝に服用し、放出調節性プレドニゾンは経口投与の4時間後に放出されるようデザインされ就寝前に服用した。治療期間はいずれも12週。

2004年8月~2006年4月の間にドイツの17施設およびポーランドの12施設から慢性リウマチ患者288例が登録され、放出調節性プレドニゾン群に144例が、即放性プレドニゾン群には144例が無作為に割り付けられた。

関節の朝のこわばりの持続時間が約30分間短縮




ベースライン時から治療終了時における関節の朝のこわばりの持続時間の相対的変化率は、放出調節性プレドニゾン群が即放性プレドニゾン群に比べ有意に改善された(-22.7% vs. -0.4%、p=0.045)。

放出調節性プレドニゾン群の関節の朝のこわばりの持続時間は、ベースラインに比べ治療終了時に平均44分短縮した。治療群間の持続時間の差は29.2分であった(p=0.072)。安全性プロフィールは両治療群間に差を認めなかった。

Buttgereit氏は、「放出調節性プレドニゾンは耐用性が良好で、投与法が簡便であり、従来の即放性プレドニゾンの治療効果に加えて関節の朝のこわばりの臨床的な低減が得られた」と結論。さらに、「臨床的な効果を得るには服薬の適切なタイミングについて患者に十分に説明すべきである」と強調し、「リウマチ性多発筋痛や喘息など他の疾患の治療選択肢となる可能性がある」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)