年1回の低線量CTによる肺がんスクリーニング、死亡率を低下:NLST

提供元:ケアネット

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公開日:2011/08/17

 



年1回の低線量CTによる肺がんスクリーニングが、肺がんによる死亡率を低下することが、米国内33施設5万3,000人超を対象に行われた大規模な無作為化試験「NLST」の結果、報告された。進行が早く不均一という肺がんの性質がスクリーニング効果の妨げとなり、これまで可能性が示された高リスク群への胸部X線および喀痰細胞診による集団検診も、無作為化試験で死亡率低下が示されなかった。しかし、低線量CTの登場で状況は一変、観察的研究で胸部X線よりも多くの初期がんを含む小結節や肺がんを検出することが示されていた。NEJM誌2011年8月4日号(オンライン版2011年6月29日号)掲載報告より。

肺がんリスクの高い53,454例を低線量CT群か胸部X線群に無作為化し追跡




NLST(National Lung Screening Trial)は2002年8月~2004年4月に、全米33施設から肺がんリスクの高い53,454例が登録され行われた。被験者は、55~74歳、30箱/年の喫煙者か禁煙が15年以内の元喫煙者だった。

被験者は無作為に、低線量CT群(2万6,722例)か胸部正面単純X線群(2万6,732例)に割り付けられ、年1回、3年にわたってスクリーニングが行われ、2009年12月31日まで肺がん発症、肺がんによる死亡のデータが収集された。

スクリーニング受診アドヒアランスは90%以上であった。

肺がんによる死亡、低線量CT群が20.0%低い




3回にわたるスクリーニングでの陽性率は、低線量CT群24.2%、胸部X線群は6.9%だった。偽陽性率は、低線量CT群96.4%、胸部X線群は94.5%だった。

肺がん発生率は、10万人年当たり、低線量CT群645例(がん1,060個)、胸部X線群は572例(がん941例)で、発生率比は1.13(95%信頼区間:1.03~1.23)だった。

肺がんによる死亡は、10万人年当たり、低線量CT群247例、胸部X線群は309例で、低線量CT群の死亡は胸部X線群よりも相対的に20.0%(95%信頼区間:6.8~26.7、p=0.004)低下が認められた。また全死因死亡は、同6.7%(同:1.2~13.6、P=0.02)であった。

(武藤まき:医療ライター)